目次
撮影に至る経緯
未だに、愛称のついたDSOを追っかけています。
やはり、散開星団に面白い愛称が多いようです。
昨夜は、管理人の家のベランダからでは何かと障害の多い、とも座方面を狙っていました。
とも座は散開星団の宝庫。目移りします。
昨夜目を引いたのが、とも座の散開星団NGC2546「Heart and Dagger Cluster」です。
調べてみると、Daggerというのは十字架の形をした短剣のことらしい。
Heart and Daggerで、心臓と十字架の形をした短剣ということになります。
何だか、そういう絵があるのですね。多くの絵が、心臓もしくはハートの絵にに短剣が突き刺さっています。
あとは、短剣符、現在では引用元などの脚注の存在を示すために用いられることが多いのだとか。
十字架の形をした記号です。
日本で言うところの、コメジルシやアスターリスク的役割を果たしています。
学術雑誌で、著者の名前の肩に記号を置き、脚注に所属を示すなどの用途で短剣符や二重短剣符が用いられることがあります。技術雑誌で、専門用語の肩に記号を置き、脚注で用語解説するために用いることもあります。(Wikipediaより)
「ハートと短剣星団」と訳した方が格好が良いですね。
画像の出来上がりが楽しみです。
↓ハートと短剣星団を追尾・撮影中のビクセン社スーパーポラリス赤道儀、ビクセン社モータードライブMD-6、、SVBONY社鏡筒SV503 102ED。とにかく低空です。
撮影の経過と結果
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
真南に近い、しかも低空の散開星団を撮影するのは、自動追尾的にも難易度が高いです。
十分に極軸を設定しておく必要があります。
狙うのは設定誤差20″未満。見事に達成しました。
スクリーンショットを撮るのを忘れましたが、15″とかの設定誤差だったと思います。excellent!
自動追尾の状況
やはり南の空の撮影は難しいです。
ベランダからは、電信柱やら鉄塔やら、色々な障害物があり、たびたび目標天体を遮ります。
そうした障害物を通過するのにはかなりの時間がかかり、狙ったのは1時間の総スタック時間ですが、総撮影時間は2時間近くになってしまいました。
無駄な追尾誤差が蓄積してしまったわけです。
一方、総スタック時間は41分4秒しか確保できませんでした。またもや赤緯微動ハンドルが、赤経クラッチノブに干渉してしまったのです。
しかし、管理人のシステムは頑張ってくれました。そこそこ追尾誤差は出ましたが、許容範囲に収まってくれました。
基準恒星と目標天体の導入
基準恒星は、真南より西に寄った位置にある天体、いつものアルクトゥルスは遠くて当然使えません。
しかも鏡筒の角度からしてファインダーは覗けません。
そして、そもそも、星が見えません。
しかたなく、基準になる空域を設定し、そこからジャンプする、そろそろお馴染みになりつつある方法をとりました。
まず、それっぽい方向に鏡筒を向け、赤経06h07m、赤緯-27°06’に陣取りました。
目標天体「ハートと短剣星団」は、赤経08h12m、赤緯-37°35′。
少し離れていますかね、赤経値が2h近く異なってしまいました。
しかし、2度のトライで、「ハートと短剣星団」を捉えることが出来ました。excellent!
↓陣取った空域
撮影の結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、FlatAideProによるフラット補正・カブリ補正、GIMPによる色レベル調整・色強調処理・colorenhance処理・トーンカーブ調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
撮影日:2022年4月8日金曜日
露出8秒間、総スタック時間41分4秒、GAIN250、リアルタイムダーク補正・フラット補正使用。
にて撮影しました。
さて、その姿や如何に・・・
元画像
上、左を覆っている帯が、追尾誤差の量を示しています。
まあ、ノータッチで2時間ですから、これくらいは想定内です。
NGC2546「ハートと短剣星団」はどこでしょうか。
うーん、今回は密集率の低い散開星団でしたか。
散開星団と、普通の空域と、あまり変わりませんね。
ハートは?短剣は?短剣符は?
フラット画像の作成
今回ノイズが多いようで、ちょっと気合入れて編集が必要そうです。FlatAideProでフラット画像を作成しました。
かなりフラットにはなったようですが、霧がかかったような状況は残っています。
カブリ補正
FlatAideProでカブリ補正を行いました。かなりカブリが薄くなりましたが、カブリ補正での処理は、この辺りが限界でしょうか。
色レベル調整
なるべく背景色をクリアにするために、GIMPの色レベル調整で背景を暗くしました。
恒星の数をなるべく残すように。
↓この辺りが限界でしょうか。やはり南の低空の撮影って難しい・・・
カブリじゃなくて星雲・・・じゃないですよね。
色の強調
白黒で少し寂しいので、GIMPの色強調、Colorenhance処理を施しました。
これ、やる必要があったかな・・・ノイズが増えただけ・・・
ノイズ軽減処理→完成
トーンカーブでカブリの色調の青と赤を軽減して、何とか形が付いたかなというところで、画像の完成とします。
まとめ
今回も愛称と実際の星団の姿との関連性が分かりませんでした。
これまでで、関連性がはっきりしていたのは、チャーリーブラウンのクリスマスツリーくらいでしたかね。
しかも今回は恒星の密集度がほとんどなく、寂しい散開星団になってしまいました。少し残念です。
よく散開星団認定されているなあと、首をひねることしきり・・・
しかし、3日連続の天体観測、まずは幸せなことです。
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