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【天体観測】ランニングマン星雲と石炭車星団を同時撮影しました

星雲・星団・銀河に関する情報
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撮影に至る経緯

一昨日のプチ遠征では、撮影基地の設営が完了し、極軸設定などまで終えて、その日のメイン目標(とも座のM46)が撮影できる高度になるまで一時間ほどの余裕がありました。

折角のプチ遠征の時間を有効に使いたく、その空き時間にDSOを一つ、撮影することにしました。
対象は、冬の象徴オリオン座のDSOを撮影したいと思いました。
ステラリウムによれば、オリオン大星雲の北に、NGC1977「ランニングマン星雲」(赤経05h36m、赤緯-04°48′)というものがあります。分類は双極性星雲という見慣れないもの。
その名前にとても惹かれ、写るかどうかわかりませんでしたが、チャレンジしてみることにしました。

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ランニングマン星雲の概要

ランニングマン星雲は、青い星雲の前を横切る暗い影が、走っている人の姿に見えることから、ランニングマンという面白いあだ名がつけられています。
ランニングマンの姿は、電離した水素原子が発する赤い輝きによって描き出されているそうで、その周辺は青っぽい恒星の光を反射するガスに覆われています。このような青い星雲はガスや塵の雲が青い星の光を反射して輝いています。

双極性星雲(Bipolar nebula)は、軸対称な1対のローブを持つように見える星雲です。惑星状星雲に多く見られる形態のようです。しかし、後述するランニングマン星雲の姿を見る限り、双極性には見えませんね。
↓ペルセウス座M76「小あれい星雲」これは双極性に見えます。

なお、この領域はHⅡ領域というらしく、電離した水素が光を放っている天体のことで、これが偶然にもランニングマンを生み出しました。
直径数百光年に達する大きさを持ち、内部で星形成が行われているそうです。このガス雲の中で生まれた若い高温の青い星が多量の紫外線を放出し、星の周囲にある星雲を電離することで光っています。
HⅡ領域 で他には、オリオン大星雲(すぐ隣)や、りょうけん座の渦巻銀河M51の腕部分に多数あるそうです。

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ランニングマン星雲の導入

オリオン大星雲をファインダーで見ると、大きく3つの星の光があるように見えます。
それの一番北の星の光をファインダーの中央に入れると、ランニングマン星雲を捉えることができます。目標天体の導入はこれで完了です。
この辺りは、ファインダーで眼視するととても美しい景色が広がっています。
実は北のかたまりと、南のかたまりは、恥ずかしながら観測したことがなく、今回初めて鏡筒を向けました。

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石炭車星団(上の剣)

ランニングマン星雲のすぐ隣にNGC1981「石炭車星団(上の剣)」(赤経05h36m、赤緯-04°25′)という星団があります。この星団は50個以下(多分数個)の星からなる星団です。散開星団でもない、普通の星団です。
画角の狭い管理人のASI462MC(1/2.8型)でも、ランニングマン星雲と同じアングルに入れることができます。

今回狙ったわけではなく、そのランニングマン星雲を撮影したら、ラッキーなことに同時に撮影できたのです。

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撮影結果(2022年1月8日撮影)

[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色強調、トーンカーブ調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:郊外の河川敷公園の駐車場

露出8秒間、総スタック3024秒(時間50分24秒)(リアルタイムダーク補正使用)、GAIN250。
で撮影しました。あと30分スタックしたかったのですが、メイン目標撮影の時間が迫っており、約50分のスタック時間で終了しました。

正直なところ、最初は写るとは思わなかったので、炙り出した時には驚きました。本当にランニングマンになっていますね。
確かに青い星雲の前を、 電離した水素原子が発する赤い輝き(だと思う)が横切って、ランニングマンの形を作り出しています。

ごちゃごちゃして分かりにくいので、最初にアングル内の整理をします。いや、さらに分かりにくくなったか(^-^;
左側の円が石炭車星団、右側の円二つの辺りがランニングマン星雲です。
よくアングルの中に納まったなと驚きつつ感動しました。

↓そして、今回のプチ遠征の一つ目の収穫。

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まとめ

思い付きで狙って、それがなかなかの考慮すべき点の多いDSOであったことに驚きました。
最初はマイナーな星雲だろうと思っていたのですが、それがどうして、有名なHⅡ領域でもあり、勉強のし甲斐もあり、中身の濃いDSOでした。
今回のプチ遠征が無かったら、一生望遠鏡を向けなかったかもしれません。危ない危ない。

また、ランニングマン星雲は、従来管理人が使っていた星図には載っていませんでした。今回もステラリウムを使っていなければスルーしてしまったところです。

ステラリウムには楽しいDSOが多く掲載されています。
これまらもステラリウムで、DSOの旅を続けたいと思います。

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