目次
撮影に至る経緯
キャッツアイ星雲を撮影するために、主焦点(f=714mm)での撮影訓練をしています。
キャッツアイ星雲については、これまで2度トライして、2度とも失敗しています。
そこで、先日は、かに星雲を目標に、主焦点で撮影する訓練をしました。
結果は、失敗なのでしょうね。暗くて色も出なかったし、強調ノイズも強く出ました。
おそらく暗い対象に対して、GAINも低くて、総スタック時間も短かったので、あまり写らず、ノイズも多かったのかと思います。
視直径と等級を、各天体比べてみますと。
天体名 | 視直径 | 等級 |
キャッツアイ星雲 | 00′19.08″ | 8.1 |
かに星雲 | 08′0000″ | 8.4 |
エスキモー星雲 | 00′48.00″ | 9.61 |
当然のことながら、かに星雲が一番大きく、キャッツアイ星雲が一番小さいですね。
キャッツアイ星雲は、明るさは、そこそこあるものの、小さいので、今四苦八苦しているわけです。
つまり、小さくて模様が見えないため、倍率を上げるため、まず主焦点系による訓練をしています。
倍率が上がると、導入や自動追尾の精度がさらに求められるので、スキルの向上をしなければなりません。
今回はエスキモー星雲を使って訓練をしました。
↓エスキモー星雲を撮影中のビクセン社スーパーポラリス赤道儀、ビクセン社モータードライブMD-6、SVBONY社鏡筒SV503 102ED
撮影の経過と結果
極軸設定のためのピント合わせ
極軸設定は、レデューサーを使って行いますが、ピントが合っていないと、SharpCapが星を掴んでくれず、極軸設定が出来ないため、レデューサーを装着した極軸設定のためだけにピント合わせが必要なのです。
ふたご座のポルックスでピント合わせです。
レデューサー装着してのピント位置は、ドローチューブの繰り出し6cm。セットしてバーティノフマスクを装着してみると・・・ピッタリ合っていました。素晴らしい。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
極端に暗くはありませんが、長時間の自動追尾を試してみたかったため、極軸設定も慎重に念入りに行いました。その結果、設定誤差14″まで追い込むことができました。Excellent!
これで主焦点での長時間自動追尾が出来ると良いのですが。。
自動追尾の状況
今回の撮影では、120分の自動追尾を行いました。
追尾は良好で、そこそこの追尾誤差は出ましたが、許容範囲でした。
レデューサーを使った撮影より良好だったかもしれません。なぜ?
キャッツアイ星雲撮影本番でも同じような成果が出ることを祈ります。
基準恒星のピント合わせ(主焦点系)
どちらかというと、こちらのピント合わせが本番です。ここで決めるピントで撮影することになりますから。
まず、レデューサーを外します(この段階でポルックスが画角内に入ったままです)。
さて、画角から外れないでしょうか。
ポルックスは画角の良いところに収まっていました。まずは祝着至極。
続いてピント合わせです。再びバーティノフマスクを装着して行いました。
↓かなりずれています。フォーカスノブは結構動かしました。
ピント合わせ、成功です。何度使っても、バーティノフマスクは便利です。
基準恒星と目標天体の導入
新鮮さを求めて普段使わない恒星を基準恒星にしている場合ではありません。
明るく、そして今画角に導入されているポルックスを基準恒星にしなければなりません。
ポルックスは、赤経07h45m、赤緯+28°01分、
エスキモー星雲は、赤経07h29m、赤緯+20°54′。
少々距離感がありましたが、誤差が出るほどの距離ではありません。
ジャンプした先には、エスキモー星雲らしきものはありませんでした。
astrometry.netで現在位置を確認しようとしたところ、不運なことにサーバーがダウンしていました。
しかたなく、赤緯微動ハンドルで微調整したり、モータードライブを倍速で動かしたりしてエスキモー星雲を捜索。とてもラッキーなことに、大宇宙の真ん中で(大袈裟)、エスキモー星雲を画角に導入することが出来ました。
ほんとにほんとに、ラッキーでした。
↓主焦点で撮影したポルックス
↓最初の到達地点。どこなのか全くわかりません。導入できてほっとしました。
撮影結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色強調・color enhance処理
使用フィルター:×0.5レデューサー(撮影には使用せず)、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
GAINは335という細かい数字になりました。ライブスタックを短時間実施して撮影しながら明るさを調整したので、最適値を見つけるうちに、細かい数字になりました。
結果として、最近では使ったことのないGAIN値になりました。
ダークファイルがGAIN350のものしかなかったのですが、使わないよりましかと思い、このファイルでもってリアルタイムダーク補正を行いました。
総スタック時間2150秒間
まだ強調ノイズが目立ちますね。暗い天体を無理やり強調しているからか・・・
総スタック時間2920秒
あまり↑と変わりがないですね。
総スタック時間3632秒間
このあたりから、強調ノイズが少なくなりますね。
総スタック時間5432秒間
総スタック時間が1時間を超えると、そこから少しくらい増やしたくらいでは変化は無いようです。
総スタック時間7200秒間
2時間の長時間ライブスタックでしたが、結局この画像が一番ですね。
拡大してみました。いつものことながら、エメラルドグリーンが美しいです。
しかし、中心部分は飽和してしまったようです。GAINをもう少し低くしたらよかったです。
キャッツアイ星雲撮影本番の時にもGAIN決定は苦労しそうです。
まとめ
エスキモー星雲は明るいので、2時間のライブスタックでこれだけの成果が出たと考えると、キャッツアイ星雲は、最低3時間くらいのライブスタックが必要でしょうか。
ただし、今回は1時間のライブスタックでもそこそこ良い成果が出ているので、2時間くらいのライブスタックで模様が出てきますかね。
ただし、今回のような2時間の自動追尾が出来るのは、赤道儀とモータードライブが、かなりご機嫌が良かった場合ですので、いつも成功するとは限りません。
今日は土曜日。プチ遠征の日のはずですが、天気が思わしくないです。はやくキャッツアイ星雲で試したいのになあ。
キャッツアイ星雲については、まずは主焦点で、次にバローレンズで撮影することに決めました。
次の勝負は主焦点撮影です。
どのような結果が出るか楽しみです。
コメント
手動赤道儀の導入についてのヒントなんですが、SP 赤道儀は赤緯、赤経ともにウォームホイールは1回転144歯です。
このことから計算するとウオームギアのつまみを1回転させると赤緯は 2.5° 赤経は10分動くことがわかります。
この事を覚えておけば、基準天体の位置からどれだけつまみを回して移動すれば目的の天体へ導入できるのかは、星図などから天体の位置情報を見て計算すればわかります。
つまみダイヤルに時計の文字盤のような厚紙などで作った目盛を付けておくとわかりやすいです。
きよりんさん、おはようございます。
こめんとありがとうございます。
なるほど!赤経、赤緯の一回転の数値が分かって入れば、正確に天体を導入できますね。バローレンズをつけても、導入が楽にできそうです。
そして文字盤を作成すれば、かなりの精度で導入が出来そうです。
貴重なアイディアとアドバイス、ありがとうございます!これからもよろしくお願いいたします。