目次
撮影に至る経緯
時は、2022年1月26日にさかのぼります。
この日は、「海賊の月星団」を撮影した日ですが、比較的早く撮影が終わったため、もう一つ、DSOを撮影していました。
愛称がついていて、ファインダーを何とか覗くことが出来て、高度があまり高くなく撮影しやすいもの、このような選択基準で、ステラリウムでDSOを物色しました。
その結果、いっかくじゅう座の散開星団M50「Heart Shaped Cluster」を撮影することにしました。
直訳すると「ハート形星団」ということですね。
美しいハート型が見られるでしょうか
撮影の経過と結果
恒星のピント合わせ
さすがに「海賊の月星団」を撮影したばかりなのですから、ピントはズレていないはずで、特に何もしませんでした。
その状況は、上記記事へのリンクからご覧ください。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
ピントは再調整の必要はありませんが、極軸設定はやり直さないといけません。
一回目の撮影で、撓みなどでずれてしまっていることが想定されて、実際に再設定したら、20′程度の誤差が発生していました。
この誤差を、SharpCapのPolar Align機能を使って修正しました。
その結果、設定誤差21″まで極軸を追い込むことが出来ました。excellent!
自動追尾の状況
今回4544秒(75分44秒)という、長時間の自動追尾を行いました。
その結果は、目立った誤差も出ず、良好で許容範囲でした。
赤経クランプをきつめに締めることが功を奏しているのかもしれません。
それでは、南北のズレの原因は何でしょうか。
特に南への追尾誤差が出ることが多いです。赤緯クランプをしっかり締める?
やってみました。
確かに追尾誤差は許容範囲に収まりましたが、それが直接の要因かどうかは、もう少し検証を重ねないと結論は出ないです。
赤経、赤緯クランプを少し緩めに締めて撮影実験することが必要です。
基準恒星と目標天体の導入
いっかくじゅう座の恒星は暗く、自宅ベランダでは肉眼で確認することができません。
ただし、「ハート形星団」の近くには、強力な恒星、シリウス(等級-1.45、赤経06h46m・赤緯-16°44′)があります。目標天体「ハート形星団」(赤経07h03m、赤緯-08°22′)までの距離も近いです。
↓シリウス そこで基準恒星はシリウスとしました。なんとも眩しいですね。
「ハート形星団」の導入は、なんと一発で導入できました。素晴らしい。
撮影の結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色強調処理・トーンカーブ調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
露出8秒間、総スタック時間4544秒(75分44秒) 、GAIN250、リアルタイムダーク補正使用。
にて撮影しました。
うーむ、正面から見ても、斜めから見ても、目を細めて見ても、ハート形に見えません。
ハート形だと思いながら見れば、そうかな、という感じですね。
しかし、散開星団としては、十分堂々としていて、美しいと思います。
星の数は、50個から100個。
距離3262光年。
まとめ
あまりハート形ではありませんでしたが、とても美しい散開星団で、楽しむことが出来ました。
上記画像ではよくわからないのですが、南への追尾誤差がそこそこあるのです。
東西の追尾誤差は、赤経クランプの締めが甘かったことが要因というのは、何となくしっくりくるのですが、撮影中に赤緯軸がスリップを起こしている?
ちょっと考えられません。
やはりこれは、実験が必要なようです。甘い締め、きつい締め、の二段階くらいで、追尾の状況がどう変わるか確かめてみたいと思います。
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