経緯
バーティノフマスクを購入し、色々と実験をしてきました。
バーティノフマスクで恒星のピントを合わせて、そのピントで惑星を撮影したらピントは惑星に合うか、とか、
バーティノフマスクで直接惑星のピントを合わせられるか、
とか、色々とやってきました。
しかし、肝心の実験をしていませんでした。
バーティノフマスクで恒星のピントをどこまで合わせられるのかの実験です。
2021年11月24日の話。
ぎょしゃ座の散開星団を巡っているので、今回は、散開星団NGC1931を撮影することにし、バーティノフマスクで、そのピントを合わせることにしました。
どこまで鋭くピントを合わせられるでしょうか。
撮影経緯・結果
極軸設定と追尾誤差
いつものようにSharpCapの極軸設定支援機能Polar Alignを使い、15″まで設定誤差を少なくできました。Excellentです。
ただし、追尾誤差はなぜか大きかったです。まあ、ズレた部分を切り取ってしまえば問題ないので、撮影には影響がありませんでした。ノータッチガイドですしね。
できれば、もう少し追尾誤差が小さければ、より幸せな気持ちになれたと思います。
バーティノフマスクを使用
バーティノフマスクを鏡筒に装着し、今回の基準恒星エルナトを見てみました。
↓三本の光は、一点で交わっていません。ピントを追い込んで・・・
↓これでOKだと思います。左右対称の光が美しい。
導入
目標天体NGC1931(赤経05h31m、赤緯+34°15′)はエルナトの近くです。
したがって今回の基準恒星はエルナト(赤経05h26m、赤緯+28°36′)に決定しました。
目標天体NGC1931へは、エルナトからほんの少しの移動で済みます。
↓エルナトです。この時点で、バーティノフマスクの真価が表れているような・・・
撮影結果
[撮影をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるライブスタック(リアルタイムダーク補正機能使用)
画像編集:画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し
その他:UV/IRカットフィルター使用
NGC1931は、ハエ星雲と呼ばれる散光星雲に囲まれています。そのことを知って、総スタック時間を3600秒間まで伸ばしました。
そして、今回、つつましやかではありますが、その姿を垣間見ることが出来ました。
赤い星雲を撮影できたのは初めて(オリオン大星雲を除く)です。
露出8秒間、総スタック時間3600秒間(リアルタイムダーク補正使用)、GAIN220、での撮影です。
中央若干左寄りのぼーっとしたのが、NGC1931です。
恒星のピントはほぼ完璧です。手動でデュアルスピードフォーカサーを操っても、ここまでは追い込めないでしょう。
バーティノフマスクの使用感は大変良く、購入してよかったです。
散開星団の広がりは、↓のような感じです。小さな散開星団でした。
拡大すると、星の集まりを赤い星雲が囲んでいることが分かります。
赤い星雲の撮影はオリオン大星雲のみ経験があります。
NGC1931は、オリオン大星雲のミニチュア版などと呼ばれることもあるそうです。
なお、ここまで拡大しても、星はぼてっとしません。
バーティノフマスクによるピントが優秀だからでしょう。
まとめ
今回、純粋に恒星のピントを合わせることに関し、バーティノフマスクがデビューしました。
ここまで手軽に恒星のピントを合わせられるとは驚きです。
これまで、恒星のピント合わせは、なるべく拡大して、目分量で、恒星がなるべく小さく鋭く光るようにするまでデュアルスピードフォーカサーで追い込んでいました。
それでも、このピントが最良か、という迷いの中にありました。
これからはそれが機械的にできます。とても画期的です。
NGC1931については、NGC1931を囲う散光星雲まで撮影出来て、とてもラッキーでした。
本当はHαの感度を上げるフィルターが欲しいのですが、ちょっとお高いといいますか微妙な値段で、迷っているところです。
バーティノフマスク、赤い星雲、とても実りのある撮影となりました。
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