経緯
先般、折角小さな散開星団が不思議と書いたのに、そのまま書きっぱなしも面白くないですし、小さな散開星団は他にもまだたくさんあると思われ、シリーズ化しようと思います。
「小さな散開星団」シリーズ
そして狙うのは、上記記事で狙ったNGC1778の近く、ぎょしゃ座の中にある散開星団のNGC1893です。
昨今の、撮影の旅は↓のようになっております。ペルセウス座はもう高度が高くて、軒が邪魔になって撮影できないと思われ・・・
そこで一点、目立ってきたぎょしゃ座の中の天体を狙っているということです。
ぎょしゃ座のメシエ天体は、だいたい昨年撮影しています。ただ、当時はビクセン社NEWポラリス80M(口径80mm、アクロマートオールコート、焦点距離f910mm)で撮影しており、新しい鏡筒SV503 102EDも試してみたいので、撮りなおしも楽しいかもしれません。
撮影結果
極軸設定
いつものSharpCapのPolar Align機能を使いました。
昨夜は、誤差が数秒になるまで追い込むことが出来て、SharpCapから「Excellent」の称号をいただきました。
撮影の土台ができました。
出だし好調。
導入
ぎょしゃ座の中の散開星団NGC1893が目標天体(赤経05h22m、赤緯+33°24′)ですから、もう基準恒星はカペラ(赤経 05h16m、赤緯+45°59′)に決まりです。
ほとんど鏡筒を動かさずに、導入は二度目で成功です。
先般撮影したNGC1778ともすぐ近くです。
今回は忘れずに基準恒星を撮影してきました。
露出8秒間、総スタック時間40秒間、GAIN200。
銀河の中は賑やかで良いです。
ダークフレーム新規作成
これまで、9月あたりに作成したダークフレームを使いまわしていましたが、さすがに陳腐化を感じたので、作成しなおしました。今回初公開です。
露出8秒間、フレーム数225、GAIN200。
これからまた、地道に撮影ごとに作成していくつもりです。
撮影結果
[撮影をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるライブスタック(リアルタイムダーク補正機能使用)
画像編集: SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し
その他:UV/IRカットフィルター使用
最近は自動追尾も調子が良くて、40分くらいの総スタック時間では、ほとんど無視できる誤差しか出ません。
それが嬉しくて、SharpCapのフレームビューをぼーっと眺めています。この時間がとても幸せな時間です。
さて、本撮影ですが、
露出8秒間、総スタック時間1800秒間(同時間のリアルタームダーク補正処理実施)、GAIN200で実施しました。
GAINが少し足らないかなと思い増やしてみましたが、スタックビューが明るくなりすぎるので、200に落ち着きました。
中央やや下あたりのこじんまりとした星の集まりです。その星の数、約60個。
新しいダークフレームを使いましたが、ノイズは出ていないようですね。
小さな散開星団なので、その位置を示しておきます。中心を外してしまった。
まとめ
今回も、この散開星団を見つけた方を敬服します。
普通なら、この星の集まり具合、無視してしまいます。
NGC天体の散開星団にはそういうものが多い。
その人の思いにこたえるべく(大袈裟)、これからも散開星団を撮り続けます。
きっと見てほしくてNGC番号を付けたと思うんです。
寒さは一段落し、外で夜空やパソコン画面を眺めるのが楽しい季節に戻りました。それだけ気分と時間に余裕が出ました。
そこでというわけではありませんが、前述したようにダークフレームを作成しました。ダークフレームのファイル名に気温らしい文字列がついているのですが、SharpCapはどうやって調べたのだろう。
ファイル名 dark_225_frames_21.3C_2021-11-02T12_22_37
謎の呪文です。
コメント
いつも導入術に感心しています。当方のような光害地では基準星すら見つけることもままならず、目視できない目標は赤道儀の自動導入に頼りっぱなしです。
ファイルに記録されている気温ですが、ZWO の CMOS カメラには温度センサーが装備されていて、CMOS カメラの温度が記録されています。CMOS カメラは温度でダークノイズの数が変化します。 ただ、冷却 CMOS カメラでないと温度コントロールが出来ないので、非冷却のカメラではあまり意味がないんですよね...
きよりんさん、おはようございます。
あ、CMOSカメラが計測していたんですね。なるほど、それなら正確ですね。
やはり、冷却CMOSカメラが上なんですね。温度コントロールできるなんてすごい。価格を眺めていて、きっとよく写るんだろうなあと思っていました。
非冷却では参考程度ですね。そういう数値が記録されていると思うと安心できるというか・・・
今回も教えていただき、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
きよりんさん、追伸です。
導入の件ですが、私にはとてもありがたいサイトがありまして、暗く淡い銀河などを導入できるのはこのサイトのおかげなんです。
http://nova.astrometry.net/upload
目盛環で目標地点に到達し、このサイトで確認しています。このサイトがなくなったら、私の天体観測スタイルが大きく変わります。