目次
撮影に至る経緯
夜空は曇り空でしたが、あちこちに晴れた部分がありました。
天体観測をしたくてしたくてうずうずしていたので、撮影に至らなくても、極軸設定や、恒星のピント合わせだけでもやろう(こういう過程は好きなのである)と思い、観測基地を設営しました。
目標天体は、方角的に、天文ガイドの付録ポスターに掲載されている夏のDSOは撮影不可能で、管理人の自由な選択に任せられました。
デネブが何とか見えましたので、近くのメシエ天体、はくちょう座の散開星団M39を撮影することにしました。
雲に隠れなければ撮影まで到達できるはず。
撮影・撮像への経過と結果
恒星のピント合わせ
先に書いたように、曇り空で、何とか見えていたのがデネブでした。雲を突き抜けてくる光でした。
これをバーティノフマスクとSharpCapのフォーカス支援機能で追い込んでいきます。
まずは、目測で追い込みます。これ以上追い込めないというところで、SharpCapの支援機能を用います。
↓目測での追い込み結果
なかなかピントが合いませんでしたが、↓のグラフの状況で手を打ちました。
↓SharpCapを疑うわけではありませんが、一応結果は光芒で確認します。
あってますね、ピント。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
もし失敗しても天候のせいにできるので、SharpCapの極軸合わせを使って、気楽な気持ちで極軸設定を行いました。
そういう時に限って、すいすいと追い込みが進み、なんと3″まで追尾誤差を追い込みました。excellent!
しかし、この設定はまぐれです。excellentになるのは大体まぐれだと思っています。
自動追尾の状況
今回32分の自動追尾で短めでしたが、赤道儀とモータドライブが、その間しっかりと星を掴んでいてくれました。
追尾誤差ほぼ無し。満足のいく結果です。
基準恒星と目標天体の導入
目標天体は、赤経21h31m、赤緯+48°25′にあります。はくちょう座とケフェス座のちょうど真ん中あたりです。
まだ何とか雲の間から見えているはくちょう座のデネブ(等級1.25、赤経20h41m、赤緯+45°16′)が絶好の位置にあります。したがって基準恒星はデネブに決定です。
画角への目標天体の導入は、何だか5回もかかってしまいました。
最近不調です。
撮影の結果・撮像の経過と結果
撮影の結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 4.0 (64 bit)による撮影、GAIN350、8秒間のフレーム240枚を撮影・うち194枚をDeepSkyStackerでコンポジット・ダーク補正・フラット補正
画像編集:GIMPによる色レベル調整、FlatAideProによるフラット補正
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
撮影日:2022年7月17日日曜日
よく見ると、ドーナツ状恒星が確認できます。設定値は、先日の記事でOKだった数値を使ったのに・・・
これはどう考えたらよいかというと、今回は、COSMETICを、HOT0.01%、COOL0.01%としました。
この数字でうまくいった散開星団があったからです。
管理人としては、この数字なら大丈夫だと思って使いました。
しかし、画一的に数値を決めるのではなく、散開星団、球状星団とか、相手によって、そして相手の星の配列によって、数値は使い分ける必要があるということです。
しかしそんな空中戦はできません。結局、DeepSkyStacker (以下DSS)のCOSMETICタブの、HOTとCOOLのチェックボックスを外すしか、確実にドーナツ状恒星を回避する方法はないのではないでしょうか。
再コンポジットの結果
チェックボックスをオフにした結果です。ドーナツ状恒星は発生していません。
画像のど真ん中付近が、M39です。美しいですね。
撮像の経過と結果
フラット補正
周辺減光のようなものが見えますが、4つ端に均等に出ていません。とにかく、FlatAideProでフラット補正です。
その結果、左右にあったカブリのようなものが消えました。素晴らしい。
背景を深く黒く→完成
それでもまだベールがかかったような感じでしたので、GIMPの色レベル調整で、炙り出ししました。
あまり強調ノイズも出ずに出来ました。これで完成とします。
まとめ
久しぶりの本格的な撮影で楽しかったです。しかもメシエ天体をゲットしました。
今回はDSSの設定値で戸惑いました。先にOKだった数値では問題が出て、さらにさかのぼって知った設定方法に戻ったのです。
とは言え、まだまだ撮影するごとに何か起こりそうです。
撮影するごとに学ぶことがあります。
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