目次
撮影に至る経緯
先般、キャッツアイ星雲を撮影したものの、大きめの恒星にしか見えなかった記事を書きました。
模様などは見えなかったのです。
きよりんさんからのアドバイスで、キャッツアイ星雲は視直径が小さいので、レデューサーではなくて、バローレンズの使用が適切ではないかとのアドバイスをいただきました。
なるほど!DSOにバローレンズを適用することは思いつきませんでした。
管理人の持っているバローレンズは×2のもの。あのキャッツアイ星雲が二倍になれば、模様が見えるに違いないと思いました。
ただし、キャッツアイ星雲はもともと暗い天体の上に、バローレンズを使うことで、鏡筒自体の明るさも1/2になってしまう(f714mmがf1428mmになる)ので、十分な露出時間が必要とのアドバイスもいただきました。
DSOへの×2バローレンズ初適用、うまくいくでしょうか。
今週もプチ遠征して、キャッツアイ星雲に再トライです。
↓キャッツアイ星雲撮影中の、ビクセン社スーパーポラリス赤道儀、同モータードライブMD-6、SVBONY社鏡筒SV503 102ED。もっと高度が高くなってからの撮影が望ましいか・・・
撮影の経過と結果
恒星のピント合わせ
本来ここで、バローレンズを付けた状態でピント合わせをすべきだったのですが、極軸設定が控えており、まずは、ASI462MC+×0.5レデューサー+UV/IRカットフィルターでピント合わせをしました。
折角のプチ遠征ですが、月並みなふたご座のポルックスでピントを合わせました。
バーティノフマスクを装着すると、プチ遠征の輸送でドローチューブを完全に格納したこともあり、光線がズレています。
↓のように修正できました。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
バローレンズの適用で、焦点距離が1428mmまで伸びるので、極軸設定は念入りにしなければなりません。
惑星の撮影では、この焦点距離で行っています。
惑星は60秒から90秒程度の撮影に耐えれば良いので楽なのですが、DSOが相手となると訳が違います。
SharpCapのPolar Align機能を使い、慎重に極軸設定をしました。
その結果、設定誤差15″まで極軸設定を追い込むことが出来ました。
自動追尾の状況
バローレンズを装着しての自動追尾状況は、かなり厳しくて、40分間の自動追尾時間で、キャッツアイ星雲は画角の東西の1/5ほどを動きました。
極軸設定は適切だったものの、長時間のノータッチの自動追尾は難しかったようです。
基準恒星と目標天体の導入
前回の撮影ではケフェウス座のアルフィルク(等級3.2、赤経21h28m・赤緯+70°39′)を基準恒星にしましたが、昨夜は天候が薄曇りの部分もあり、肉眼で確認できず、キャッツアイ星雲の方角で確認できたのはこぐま座のコカブ(等級2.05、赤経14h50m・赤緯+74°03′)でした。
これなら、明るいうえに、目標天体キャッツアイ星雲(赤経17h58m、赤緯+66°37″)まで、アルフィルクと同じくらいか、むしろ近いくらいで、基準恒星はコカブに決定です。
↓コカブです。
導入は、2回のトライで成功しました。
この時点では、レデューサーが装着されており、まだバローレンズを装着しておらず、キャッツアイ星雲を慎重に画角の中央に移動させました。
そしてまずは、バローレンズ無しの状態(f714mm)で導入、そしてバローレンズを装着してみると、何も見えません。バローレンズを付けた時のドローチューブのピント位置は、延長筒装着の上で2cmなので、そこに合わせて、フォーカスノブを少し調整したら、うっすらとキャッツアイ星雲が姿を現しました。
導入は成功です。ここまでは何とか辿り着きました。
撮影結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
使用フィルター:×2バローレンズ、UV/IRカットフィルター
撮影場所:郊外の河川敷公園駐車場
結論がら申しあげますと、撮影には失敗しました。
まず、星が、キャッツアイ星雲と、もう一つしかなく、この星の数ではライブスタックが出来ません。
そもそも、どうしても↓の画像以上ピントがあいませんでした。これは極軸設定した後に明るい恒星で今一度ピント合わせをする必要があったのです。
これが最大の失敗ポイントかもしれません。
それは反省するとして、この状態で、露出8秒間、GAIN250のフレームを300枚撮影しました。露出40分分のライトフレームです。
帰宅してDeepSkyStacker でコンポジットを試みましたが、コンポジットもされず、↓のようなフレームが300枚むなしく残されました。
撮影前に、これ以上明るく鋭くする方法は無いものかと無い頭をひねりましたが、アイディアは無し。
むなしく時は過ぎ、時間切れとなりました。
まとめ
今回の失敗の敗因は、
①バローレンズを装着した状態で、明るい恒星でピント合わせを行わなかった。
②星の数を確保できなかった。
③GAIN250では低すぎた
このあたりでしょうか。
②は、画角の中に星が無いのですから仕方がありません。
①を試したかった。理由は、導入したキャッツアイ星雲を離れて、明るい恒星でピント合わせをした後、再度導入する自信がなかったことです。
次回のプチ遠征では、ピントの合った状態で、思い切って最初からバローレンズを装着してキャッツアイ星雲を導入してみたいと思います。
GAINをもっと高くする方法は、今思いつきました(^-^;
こちらも次回のプチ遠征で試してみたいと思います。
なんとしてキャッツアイ星雲の模様を見たい!
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