ねらい
先般の、スーパーポラリス赤道儀のデビューの際に撮影した動画によって、現時点でのスーパーポラリス赤道儀とモータードライブMD-6の、自動追尾に関する実力を検証してみようと思います。
↓動画を撮影した時の、SV503 102EDを載せたスーパーポラリス赤道儀。
やはり、NEWポラリス赤道儀に比べてがっしりしていますね。
MD-6、MD-5の追尾誤差の軽減は道半ばなのですが、まずは現時点の状態で検証です。
検証の方法
前述した動画によって、目標天体がどの程度ホールドされているかで検証します。
目標天体が動かなければ、excellentです。
検証の対象
2021年8月10日に撮影した木星です。白飛びしてしまって失敗作なのですが、唯一×2バローレンズを使用したものですので、実力を測るにはちょうど良いと思いました。
単に忘れただけなのですが、撮影ソフト FireCapture のAuto Alignの機能はオフになっていますので、実際の目標天体の動きが分かります。
また、前提として、この日は、北極星の方向が雲に覆われていて、おまけにドリフト法を使うにも星が見えず、iPhoneのコンパスで北+7°の方位にスーパーポラリス赤道儀の赤経軸を向けることで極軸設定としました。
それでは動画をご覧ください。
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセンスーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・F=714mm・F値7、EDレンズアポクロマート、×2バローレンズ使用(動画のみ)
カメラ:CMOSカメラASI462MC
自動追尾:MD-6(ビクセン)、
撮影及びスタック:FireCapture2.6、AutoStakkert3.1.4
画像編集:RegiStax 6でWavelet処理
その他:UV/IRカットフィルター使用
検証
極軸設定がかなり誤差のあるものであったことを考えると、よくできた方だと管理人は思います。
SV503 102EDの焦点距離がF=714mm、×2バローレンズを適用して、実質的な焦点距離は1428mmとなります。ノータッチで止めるには難しい数字です。
ビクセンの80M(F=910)を使用していたころは、実質的な焦点距離は1820mmでした。
この差は結構大きくて、自動追尾精度への要求はかなり緩和されたと思います。
さて、
木星の視直径は48.89″( FireCaptureからの吐き出しデータより)です。
木星の画面上の大きさは2.5cm、追尾ズレは約1.5cm、ズレ″をX″とします。
動画の長さは60秒間です。
48.89″:2.5cm=X″:1.5cm
2.5X=48.89×1.5
2.5X=73.335
X″=29.334″
60秒間に29.334″の追尾誤差が出ました。640×480のROIを約8分で完全に横断する誤差です。逆に言えば、8分間はROIにホールドできる誤差ということになります。
惑星の撮影には十分な精度です。
したがいまして、今回の検証によって、極軸設定が不正確な中で(繰り返しますが)、良い精度であると結論付けます。
比較をしようとして、昨年の木星の動画を見たら、ズレがひどくて、お見せできるようなものではなく、比較はしません(汗)
昨年は、あの精度で惑星の撮影をしていたのかと、しみじみ呆れました。
しかし、ここが惑星撮影の良いところで、1分の動画から、十分な品質の画像が出来上がることです。DSOなどのように、20分とか30分とか撮影する必要がありません。
今回の誤差でDSOを撮影していたら、あっという間に撮影範囲が黒い枠(ライブスタックの追尾誤差の痕)に覆われていたと思います。
↓バローレンズ使用無し。この日の撮影でもう一つ良い出来の画像があったのでアップします。
まとめ
極軸設定の精度がかなり低いレベルでは、追尾能力は高いとの結果が出ました。
スーパーポラリス赤道儀の能力はかなり高いのではないでしょうか。
きよりんさんがしてくれたオーバーホールの効果も出ていると思います。
今度は、ピリオディックモーション値も計測してみたいと思います。
それから、早くDSOデビューもしたいと思います。
この辺りで実力(もちろんスーパーポラリス赤道儀のみの影響を抽出することはできませんが)が、さらに出てくると思います。
梅雨のような天気に逆戻りしてしまいました。
管理人は天体観測できないと、気持ちが落ち着かないのです。
晴れマークはまだですかね。
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