目次
どうしても諦められないこと
ノータッチガイドで、総スタック時間30分といった長時間の撮影が、そもそも、今の管理人の赤道儀とモータードライブ等では無理というお話をいただくのですが、全く賛成なのです。
カメラの画角などを考慮すると、焦点距離5000mmをノータッチでガイドしているようなものということで、これはとても管理人のNEWポラリス赤道儀とMD-6で追尾できる話ではありません。
しかし、昨年の今頃星見を始めて、昨年の12月頃からDSOを観測し始めて、30分、40分の追尾を、自分では許容範囲と考える追尾誤差で撮影できていた時がありました。
あの頃と何が違っているのだろう。
この過去の思い出があるので、今の撮影の結果を受け入れられないのです。
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
望遠鏡:ビクセンNEWポラリス-80M
鏡筒:D=80mmアクロマート、f=910mm、×0.5レデューサー、
カメラ・追尾:CMOSカメラASI462MC、モータードライブMD-5(ビクセン)
撮影及びスタック:SharpCap 3.2 (64 bit)で撮影・ライブスタック
画像編集ソフト:GIMP
撮影場所:自宅ベランダ
総スタック時間2400秒間の記録
かみのけ座渦巻銀河M88 2021年4月19日撮影
黒い枠は出来ていますが、完全に許容範囲です。露出8秒間です。こんな画像を見ていると泣けてきます。
はくちょう座散開星団M39 2021年6月13日撮影
これも、追尾誤差はありますが、十分許容範囲に入ります。いつもこの感じで撮影したいのですが・・・露出は8秒間です。
しかし、追尾誤差の騒ぎの中で、6月にこの画像が撮影できたのは奇跡。
りょうけん座渦巻銀河M51 2021年3月23日撮影
そこそこの誤差ですが、40分撮影だから許すという感じです。露出8秒間。
総スタック時間1800秒間の記録
しし座渦巻銀河M65 2021年3月2日
30分撮影にしては、少し追尾誤差が多めですが、完全な許容範囲です。露出8秒間です。
とも座散開星団M93 2021年3月10日撮影
今ならIR/UVカットフィルターを使いますね(笑)。これくらいの追尾誤差よ、戻ってこいという感じです。
しし座棒渦巻銀河NGC2903 2021年2月18日撮影
これも許容範囲。許容範囲のものをピックアップしているというのもあるのですが、DSO撮影に力を入れ始めた昨年12月頃は600秒の総スタック時間で満足していたんですね。
管理人も初心に帰って、短時間撮影の世界に戻るべきでしょうか。
りょうけん座渦巻銀河M106 2021年3月26日撮影
露出8秒間です。若干の追尾誤差で合格点。
おとめ座のソンブレロ銀河 2021年4月18日撮影
これも許容範囲。またいつか、こんな画像を撮影したいです。
まとめ
こうして過去のブログを見ていくと、2021年4月下旬ころから追尾誤差が気になるようになったようです。
その後は、新しい望遠鏡購入で盛り上がり、また、天気も悪く、あまり追尾誤差について語られることはありませんでした。
4月下旬頃までは追尾誤差はあるものの受け入れられる誤差だったわけです。
一体その時期に何があったのか。
鏡筒の購入は関係ないと思います。購入前から大きな追尾誤差に悩まされてきたのですから。
管理人の、とてもつたない知識では原因を思いつきません。
今は、まいくろさんのご提案、
1セット10分で総スタックを終了し、これを連続して複数コマ撮像する。
→1コマあたり、ピリオディックモーション等の影響で「黒い枠」が少し発生。2コマめ、3コマめ…、比較するとズレの傾向が分かるかも。
そしてこれを、異なる赤緯でもやってみる。
これは実験してみたいと思っています。
NEWポラリス赤道儀の寿命とは思いたくないです。
コメント
・ノータッチでも、黒い部分は今よりも小さくできると思っています。PMは避けられま
せんが、時間とともに累積するズレの原因は他にある、と考えているからです。
・焦点距離が長くなったので、新しい望遠鏡では黒い部分が大きくなります。このブログ
では縮小した画像を載せていると思いますが、オリジナル画像で何ピクセルまでが許容範
囲なのか、基準を決めておくとよいと思います。(比率で、短辺の長さの◎分の1以内、
でも良いですが。)
【参考】スタック画像に黒い部分が生じる理由(予想)
(1)最初の撮像(目的星★が写野の中央にある)
┌─────┐
│アイ★ウエ│
└─────┘
←東 西→
(2)次の撮像方向が目的星★よりも西にズレた場合(写野に対して目的星★は東にズレる)
原因:追尾が恒星時より速い、等
┌─────┐
│イ★ウエオ│
└─────┘
(3)スタック後の画像(写野の東側に黒い部分が生じる)
┌─────┐
│黒イ★ウエ│
└─────┘
※最初の画像(1)を基準にして画像(2)を重ねたとき、
[a]両方にデータが存在する「イ★ウエ」が残る。
[b](1)のアのデータ部分は、(2)では存在していないので、「黒」で表示する。
[c](2)のオのデータは、(1)の範囲外なので捨てられる。
という処理がなされている、と考えられる(=予想)。
※何がどちらへズレたのか、基準を明確にすること。上の例では、
「撮像方向が目的星★に対して西にズレた」=「目的星★が写野に対して東にズレた」
まいくろさん、ありがとうございます。
基準を決める、なるほど、そこでライブスタックを止めるわけですね。割り切りとしてそれもいいですね。ちなみにこの記事では、黒い枠は切り落とさずに、画像そのまま掲載しています。(そういうことじゃない?)
黒い枠ができる側は、経験上なんとなくわかっていました。星がずれていく側に黒い枠ができていると思っていました。
こういうメカニズムで黒い枠ができるんですね。よく分かりました。
まいくろさんの予測やチェックポイントを試したいのですが、雨ばかりでして、歯痒いです。
いつもありがとうございます。アドバイス感謝します。
・撮像ソフトが「ライブスタック」でこういう処理をしているだろう、という、あくまで
も「予想」です。今後の10分間1セット撮像×複数回 の実行によって、この考えが正し
いかどうかが分かります。
A.PMだけが影響している場合
(1)1セット目(PMのため東側に黒枠が生じる、とする)
←東 西→
┌───────┐
│黒イウ★エオカ│
└───────┘
(2)2セット目(やはりPMの影響を受けるが、(1)と写り方は同じ)
┌───────┐
│黒イウ★エオカ│
└───────┘
(3)3セット目(やはりPMの影響を受けるが、(1)と写り方は同じ)
┌───────┐
│黒イウ★エオカ│
└───────┘
※もし、30分間の長時間スタックをしたとしても黒枠部分は大きくならず、10分間スタッ
クと同じ大きさ。
B.PMと「何かの原因」が影響している場合
(4)1セット目(PMと「何かの原因」のため東側に黒枠が生じる、とする)
┌───────┐
│黒イウ★エオカ│
└───────┘
(5)2セット目((4)と同じ10分間なので黒枠の大きさは同じ。「何かの原因」によって★
がズレる。下の例では「写野に対して★が東にズレる」または「★に対して撮像方向が西
にズレる」。どちらの表現でも良いが、基準を明確にしないと後で混乱する原因になる。)
┌───────┐
│黒ウ★エオカキ│
└───────┘
(6)3セット目((4)と同じ10分間なので黒枠の大きさは同じ。(5)よりもさらに★はズレて
いる。)
┌───────┐
│黒★エオカキク│
└───────┘
※今までの長時間スタックはBの場合と考えられ、得られる「30分間スタック画像」は
┌───────┐
│黒黒黒★エオカ│
└───────┘
となる。
・原因を見つけ対策をすれば、Aのように黒枠部分を許容範囲内に納めることができると
考えているわけです。
・このブログにUPされている画像は、ファイル名にも1024×580とあるように、ブログの
仕様等の制限があって、あえて縮小していたと思っていました。撮像素子自体は1936×
1096[ピクセル]なので、オリジナル画像が別にあると思ってました。
・撮像素子の長辺方向を東西方向に合わせれば、黒枠部分の面積は少し減ります。
まいくろさん、ありがとうございます。
おそらくBのパターンだと思います。長時間スタックで黒枠は蓄積しています。自分が見たところですが、最初に黒枠が発生して、そのままの黒枠の大きさで長時間スタックを終えるというパターンもまれにあります。これがAのパターンですね。PM以外の何かが確実に影響していると思います。黒枠は徐々に大きくなったわけではなく、突然大きくなったという感触を持っていますから。
画像ファイルは、オリジナルを掲載していますが、そういう意味では、ブログ側でリサイズされているかもしれません。
長編方向を東西に合わせること、これはいいですね。これからの撮影ではそのようにしてみます。しかしPM以外の要因とは何でしょうか。何とか解き明かして、また30分ライブスタックがしたいです。
アドバイスありがとうございます。これからもよろしくお願いします。