目次
撮影に至る経緯
天文ガイドの付録ポスターに掲載されている夏のDSOの一つであり、撮影に成功したら7つ目のDSOを制覇したこととなります。
しかし、これは難敵です。
北アメリカ大陸に形が似ているのでこう呼ばれているのですが、そもそも大きさが、2°×1°40′もあります。
管理人の愛機ASI462MCのセンサーサイズは対角2.8″であり、北アメリカ星雲は絶対に収まりません。いや、収まるか収まらないかを論じることすらばかばかしいです。
しかし、撮影しなければ、夏のDSOの制覇は成りません。
実は過去に撮影して失敗したことがあります。
とにかく星雲の一角でも良いから撮影出来れば合格とすることとし、取り組みを開始しました。
どんな星雲が写るか楽しみです。
↓北アメリカ星雲を追尾・撮影する、ビクセン社スーパーポラリス赤道儀、ビクセン社モータードライブMD-6、SVBONY社鏡筒SV503 102ED
撮影・撮像への経過と結果
恒星のピント合わせ
どうもSharpCapのフォーカスアシスタント機能とそりが合わないです。ピントは合っているはずなのにグラフがデコボコだったり、その逆のこともあります。
ここで一区切りとし、SharpCapから離れて、バーティノフマスクの目測のみでピント合わせをすることにしました。
使った恒星はアルタイルです。
ドローチューブの繰り出し長さの備忘録値でセットし、バーティノフマスクをとおして見たところ、↓のように、ばっちり合ったので、これでピント固定しました。
↓アルタイルです。細かい星に囲まれて美しいですね。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
相手は難敵の北アメリカ星雲。撮影時間は2時間取らないと赤い星雲は浮き出てこないと思っていました。
そこで念入りに、今回はexcellentな設定をしました。
幸い設定はすいすいと進み、設定誤差なんと8″まで追い込むことができました。
まぐれです。
自動追尾の状況
2時間に及ぶ自動追尾に挑戦しました。
結果は、追尾誤差も小さく、合格レベルです。
これなら、北アメリカ星雲は、少なくとも恒星は写っているはずです(色は別)
↓の比較のように、最初と最後のフレームはほとんどズレていません。素晴らしいです。
基準恒星と目標天体の導入
目標天体の北アメリカ星雲は、赤経20h58m、赤緯+44°19′の位置にあり、デネブのすぐ南、はくちょうの尻尾のすぐそばにあります。
基準恒星はデネブ(等級1.25、赤経20h41m、赤緯+45°16′)一択です。
しかし、目標天体の導入には4度のトライを要しました。
言い訳をさせていただければ、全く見えない目標天体を導入するのは大変なんです。武器は目盛環とastrometry.net。
astrometry.netを確認しながら目標天体に近づいていくので、時間もかかります。
撮影の結果と、撮像の経過と結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 4.0 (64 bit)による撮影、GAIN350、8秒間のフレーム900枚を撮影・うち720枚をDeepSkyStackerでコンポジット・ダーク補正・フラット補正
画像編集:FlatAideProによるフラット補正、GIMPによるトーンカーブ調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
撮影日:2022年7月29日金曜日
撮影の結果
星は奇麗ですが、これ赤い星雲、写っているでしょうか。
よーく目を凝らして見ると、背景が濃い気もします。
しかし、これでは、赤い星雲「北アメリカ星雲」にはならないので、画像編集が必要となります。
撮像とその経過と結果
フラット補正
色にムラは無いようですが、後々のためにフラット補正をしました。若干色が付きました。赤色ではありませんでした。
トーンカーブ赤調整→完成
やはり赤い星雲ですから、赤くしなければ。なるべく自然に。
こうしてみると、暗黒雲とは明確に分かれていますね。
であれば合格です。炙り出しはノイズが結構出たのでボツにしました。
これで完成とします。
まとめ
過去に失敗した北アメリカ星雲。今回もそんなに変わるところはないのですが、合格レベルを下げ、赤い星雲を表現できていれば良いとしました。
結果は編集による赤い星雲で、撮影だけでは赤さは出ませんでした。
これは管理人のシステムの限界であるとしておきましょう。
いずれナローバンドフィルターで返り討ちにします。
夏のDSO7つ目クリア。徐々にゴールが見えてきました。
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