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なかなかとらえられなかったM36
なかなかとらえられなかったM36。
ファインダーに入っていることは間違いないとおもうのですが、姿が見えません。
M36は六等級の光度があるのに、ファインダーに映らないとは。
もやもやとした日々を送っていました。
救いの手
そこに、訪問者さまから、救いの手が差し伸べられました。
かに星雲を見つけるときにも助けていただいた訪問者さまです。
今回もある行程を経ることで、M36にたどり着こう、というものです。
その行程とは
その工程とは、
ぎょしゃ座θ星を基準恒星とした場合、
ぎょさ座Θ星は、
赤経05h 59m 43.27012s
赤緯+37° 12′ 45.3047″[
M36は、
赤経05h 36m 18.0s
赤緯+34° 08′ 24″
それぞれの差は、赤経差 23.5m(西へ)、 赤緯差 3.078°(南へ)。
これを基にした工程は、
(1)ぎょしゃ座θ星をファインダーの中心に捉える。(必要ならば撮影する。)
(2)θ星がファインダーの端近く・月1個分内側になるように望遠鏡を赤緯微動で南側に向ける。(管理人のファインダーの視野半径が3.5°、月1個分0.5°内側なので、「3.0°」)(必要ならば撮影する。南方向の移動量の精度が分かる。)
これで、赤緯差約3度の行程は済んだことになります。
(3)赤経クランプを緩めてフリーにして、目盛環を見て20m、西側へ望遠鏡を向けてから赤経クランプを締める。
これで、残りの行程、赤経差23.5mのうち、20mを済ませ、残るは西へ約3.5mになります。
(4)撮影(後に分析するため)
(5)8倍速ボタンを8秒間押す。(4)へ。
(6)(4)(5)を10回繰り返す。
赤経差23.5mのうち、20mを手動で、残りの3.5mを8倍速ボタンと連続撮影でカバーしてしまう、という考え方です。
なお、前半の(3)「20m移動」の精度が不明なので、後半の撮影回数を増やしています。
この方法にはかに星雲を捉えた実績がありますから、期待するところ大です。
さっそく実行
それでは、さっそく実行です。
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
ビクセンNEWポラリス-80M、D=80mmアクロマート、F=910mm、×0.5レデューサー、CMOSカメラASI462MC、モータードライブMD-5(ビクセン)、撮影・スタッキングソフトASILive
撮影場所:自宅ベランダ
ASILiveで50秒間撮影及びリアルタイムスタッキング、露出10000ms、GAIN:Middle、GIMPによる色レベル。トーンカーブ補正
(1)ぎょしゃ座θ星をファインダーの中心に捉える。
かに星雲の時には、基準となる恒星を間違えて、やりなおすことになったので、ぎょしゃ座ベータ星を基準にして目盛り環でΘ星を捉えました。Θ星が暗くて見つけにくいというのもありました。
19:04撮影
(2)θ星をファインダーの端近く・月1個分内側になるよう赤緯微動で南側に向ける。
ここは、目分量が必要になり、管理人の勘が必要になります。大きくずれたら、M36にたどり着けないかもしれません。
何とか手動で、望遠鏡を操作しました。手に汗握ります。どきどきです。
南側に向けた先の空の写真です。これで、南方向の移動量の精度が分かります。
21:01撮影
(3)赤経クランプを緩めてフリーにして、目盛環を見て20m、西側へ望遠鏡を向けてから赤経クランプを締める。そして撮影。
これは、目盛り環という頼りがありますから、少し心強いです。
21:18撮影
8倍速ボタン、撮影を繰り返す
ここからは、モータドライブの8倍速ボタン・撮影の繰り返しです。
1回目の移動・撮影
21:20撮影
2回目の移動・撮影
21:21撮影
3回目の移動・撮影
21:23撮影
4回目の移動・撮影
21:23撮影
5回目の移動・撮影
21:23撮影
6回目の移動・撮影
むむ?画面の上部に何やら、明るい部分が。もしかすると?
21:27撮影
7回目の移動・撮影
こ、これは、星団ではないか!やっとたどり着いた、M36!感動です。訪問者さま、ありがとうございます!
しかし百発百中ですね。
検証
念のため、例のサイトで間違いなくM36かどうか調べました。結果は?
ど真ん中です!間違いなくM36です。
↓行程を再現し、撮影しなおしたもの。これは、100秒間撮影しました。とても美しいです。
8回目の移動・撮影
21:29撮影
9回目の移動・撮影
21:31撮影
10回目の移動・撮影
21:31撮影
眼視観測
今回忘れずに、アイピースでの眼視観測もしました。
20mmアイピースで、45.5倍でみたところ、思ったよりかなりこじんまりとしていて、これは確かにファインダーでは見つけられないかもしれないと思いました。
しかし、奇麗でしたよ。
まとめ
今回も訪問者さまのアドバイスで、目的天体を観察することができたのですが、訪問者さまがいらっしゃらなかった場合、自分の力でこの行程を組み立てられたでしょうか。
また今回はぎょさ座Θ星という基準星が近くにありました。基準星が遠いところはどうなるのでしょうか。
管理人は、見る専門で、理論は二の次、というか、考えずにここまで天体観測を行ってきました。
でも、今回のことで、少しこの方法に近づけた気がします。
いっそのこと、M37、M38も見ていこうかとも思いますが、視直径が広くて、どんなもんですかね。
これからも、もっといろいろなDSOを探して、見て、腕を磨いていきたいと思います。
コメント
撮影成功おめでとうございます。
2週連続でハッピーな日曜日をありがとうございます。
基準恒星と目的天体が離れている場合は、
【赤緯】当初の基準恒星から南(or北)にある角度移動したら、新たに見えてきた別の恒星
で移動量を判断する。3回繰り返すと最大約10度の移動量。(3.5°×3回)
※4回以上繰り返すと、誤差が累積するのでできれば避ける。赤緯差が10°以内の基準恒
星を選択する。3.5°以内がベスト。
※「新たに見えてきた別の恒星」の正体(=赤緯)が分かっている場合は、移動繰返し回数
の制限はなし。いずれにしても「ファインダーを使いこなす」ことが大事。
【赤経】M36の時と同様に、手動である程度目的天体に近づき、残り(赤経で4m程度)は複
数の撮影でカバーする。
M37やM38は移動量の少しの変更でゲットできると思います。ただし「はみ出す」という別
の悩みが生じますが。
今回7回目の撮影でM36を中心に捉えていましたが、PCですぐ確認できるので、8回目以
降は省略してかまいません。逆に、前半の手動による移動量に不安があれば(移動量不足
の時)、繰り返す回数を増やしてみることはあり得ます。
また、「繰り返し撮影」の時は露出時間を短くして全体の所要時間を縮める、などのバー
ジョンアップも考えられます。色々チャレンジしてみてください。
まいくろさん、お祝いの言葉と、アドバイスありがとうございます!
なるほど、遠い基準恒星の場合は、近づくと現れる恒星との移動量が計算できれば良いわけですね。そこからまた移動量を計算すればよいと。
確かにファインダーを使いこなすことがこんなに大事とは知りませんでした。ファインダー上の移動量によっては目的天体に迫れない場合もありますもんね。
しかし、ファインダーに入っているのに見えない天体に迫るのはどきどきしますね。
あ、露出時間、そうですね。接近する過程の写真を楽しむわけではありませんからね。次回からは、自分で設計できるようにしたいです。もっとも、ファインダーで見つけられる天体もたくさん観測したいですけどね。
今回も大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。
ところで、ブログ上で、まいくろさんと呼んでも良いですか?「訪問者さま」では何だか落ち着きが悪くて(笑)もちろん、「訪問者さま」を続けるのもありですので、もしよろしければ、ということで。。。
まいくろさん、でよいですよ。キーを打つ回数も減ると思いますし(笑)。
まいくろさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
了解です。これからは、「まいくろさん」でいきます(笑)