目次
撮影の経緯
毎週土曜日の夜は、郊外の公園までプチ遠征して、ベランダからでは撮影できない方角の天体の撮影をしています。
もちろんベランダからでも撮影できる天体を撮影することはありますが、それは、ベランダでは、ファインダーを覗く姿勢がアクロバティックになったりして、撮影が困難な天体を撮影したい時です。
昨夜はいつもは見ることのできない、北から西にかけてのDSOの撮影をしました。
狙いは愛称が楽しかったり、素敵だったりするDSOです。
①りゅう座の惑星状星雲NGC6543「キャッツアイ星雲」
②カシオペヤ座の散開星団NGC7789「キャロラインのバラ星団」
どちらもしゃれた愛称がついています。キャッツアイ星雲は管理人も知っていましたが、「キャロラインのバラ星団」は初めてです。
どんなバラなんでしょうね。楽しみです。
しかし、キャッツアイ星雲に関しては、思っていた姿を撮影できず、失敗といいますか、管理人のスキル(又は鏡筒のスペック)では難しかったようで、イマイチな結果になりました。
「キャロラインのバラ星団」は、良い出来だったと思います。
↓キャッツアイ星雲を撮影中の、スーパーポラリス赤道儀、モータードライブMD-6、SV503 102ED
↓キャロラインのバラ星団の追尾中。
「キャッツアイ星雲」撮影の経過と結果
恒星のピント合わせ
今回は鏡筒を輸送用に箱に収納してしまったので、ドローチューブは一番奥まで押し込まれています。
したがってピント合わせが必要ですが、だいたい6cm繰り出せば大まかなピントは合いますので、ドローチューブは事前に繰り出しておいて、バーティノフマスクでピント合わせをしました。
ピント合わせに使った星は、オリオン座のサイフです。おそらくこれまで基準恒星にもピント合わせにも使ったことはありません。
↓サイフ。等級は2.05です。ピントはかなりあっているようです。バーティノフマスクを装着してチェックしてみると・・・
↓奇跡的にもピントは合っていました。6cmに合わせたのがぴったりだったようです。これで昨夜のピントは固定です。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
惑星状星雲の撮影も、きちんと極軸設定をしておかないと、長い追尾時間を耐えることができません。
いつものように気合を入れて極軸設定を行いました。
SharpCapのPolar Align機能を使い、結果は、20″の設定誤差まで追い込むことが出来ました。「Excellent」です。
自動追尾の状況
キャッツアイ星雲は、追尾時間が35分44秒でしたが追尾誤差がそこそこ出ました。なぜ出る時と出ない時があるのか・・・まだまだ研究が必要です。
「キャロラインのバラ星団」は72分56秒の長時間追尾をしました。もっと早く切り上げるつもりが、車の中でうとうとしてしまい、ここまで長くなり、追尾誤差も大きく出てしまいました。
30分や40分の追尾ならそこそこいけたと思います。
基準恒星と目標天体の導入
北から西にかけて、キャッツアイ星雲(赤経17h58m、赤緯+66°37″)を捉えられそうな恒星はなかなかみつからず難儀しました。
といいますか、管理人は北から西にかけての空に慣れておらず、お上りさん状態になっているので、星座や恒星の位置と名前が一致していないので、適切な恒星も見つけられないのです。
それでも目を凝らして探した結果、ケフェウス座のアルフィルク(赤経21h28m、赤緯+70°39′)が見つかり、これを基準恒星としました。
少し距離がありますが、誤差が出るほどの距離ではありません。
目標天体キャッツアイ星雲は二回のトライで導入できました。
↓アルフィルクです。
「キャッツアイ星雲」の撮影結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:郊外の河川敷公園駐車場
露出8秒間、総スタック時間2144秒(35分44秒)秒、GAIN250、リアルタイムダーク補正使用。
で撮影です。
残念ながらキャッツアイ星雲は大きな恒星にしか写りませんでした。
明るすぎるのかと思い、ライブスタックを一時停止して、GAINを200に落としたところ、ライブスタックが止まってしまいます。星が足りなくなってしまう、暗くなってしまうという理由です。
これはもう出直すしかないと思い、キャッツアイ星雲はここで諦めました。
念のため拡大してみましたが、模様のもの字もありません。
「キャロラインのバラ星団」撮影の経過と結果
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し 、GIMPによる色強調・トーンカーブ補正
極軸設定と自動追尾の状況
最初に極軸設定した時からかなり時間が経っていますので、再度極軸設定を行いました。やはり40′弱くらいずれていました。どのタイミングでずれるのかなあ。
気を取り直して、寒い中、SharpCapのPolar Align機能を使い、極軸設定した結果、28″まで追い込むことが出来ました。これで誤差が出たのであればがっかりなのですが・・・
結果としては、70分を超える長時間追尾で許容範囲とは言えない誤差が出ました。
鏡筒のバランスがイマイチ設定が甘いのか・・・今後研究します。
基準恒星と目標天体の導入
「キャロラインのバラ星団」(赤経23h58m、赤緯+56°49″)は、カシオペヤ座のすぐ近くにあり、基準恒星は、もうカフ(等級2.25、赤経00h10m・赤緯+59°16分)一択でした。
カシオペヤ座の恒星を基準恒星にするなんて、とても新鮮です。
↓カフです。
撮影結果
露出8秒間、総スタック時間4376秒間(72分56秒)、GAIN250、リアルタイムダーク補正使用。
にて撮影しました。
さすがに「キャロラインのバラ星団」と名付けるだけあって、バラがひしめいているようですね。迫力があります。
名前を付けた人の気持ちが分かるような・・・
キャロラインと、星団の名付け親との関係が気になります。奥さん?子供?恋人?
まとめ
今回は、キャッツアイ星雲で成果が出せなかったので、代わりの天体を探し、「キャロラインのバラ星団」という素敵な散開星団を見つけることが出来ました。
怪我の功名というやつでしょうか。
キャッツアイ星雲は、もしかすると、口径102mmの望遠鏡では限界があるのかもしれませんが、もう少し研究してみます。少しでも模様が見たいです。
帰宅時間午前0時。寒かったし、疲れました。
撮影の設定をしてスタートさせれば、あとは車の中で暖を取っているのですが、その設定とスタートが寒かったです。
それでもプチ遠征は面白いです。来週も行こうと思います。
コメント
こんにちは。
キャッツアイ星雲は視直径がとても小さいので、700mm の鏡筒だとレデューサーではなくてバローレンズを使ってください。
きよりんさん、おはようございます。
コメント、ありがとうございます。
なるほど!バローレンズを使えばよいのですね。DSOにバローレンズって使ったことがなくて、そういう発想すらなかったです。
あの視直径が2倍になれば、模様とか見えるようになりますかね。
キャッツアイ星雲は自宅ベランダからは見ることが出来ず、プチ遠征しなければなりません。次のプチ遠征の目標はキャッツアイ星雲に決まりです。
アドバイス、ありがとうございます。
x2 バローで1400mm の焦点距離になりますし、カメラがASI462MC ですから模様は映ると思います。ただ、元々かなり暗い天体のうえ、x2 バローで鏡筒の明るさも 1/2 になりますので、十分な露出時間が必要になるかと思います。
きよりんさん、おはようございます。コメントありがとうございます。
模様が写るのは嬉しいです。
でも、十分な露出が必要ということですね。ということは、バローレンズで、倍率が上がり、自動追尾をシビアにしないといけなくなりますね。
1400mmの長焦点の自動追尾撮影というのは経験がなく、少し心配な面もありますが、とにかくやってみます。
自分の望遠鏡でキャツアイが見たいですから。
いつもアドバイス、感謝します!