目次
撮影の経緯
天文ガイド付録ポスター記載のDSO撮影制覇は、一休みです。
撮影が可能になる時間が遅くなるのと、プチ遠征が必要になることから、今すぐに撮影できるDSOがありません。
しかし、金曜の夜、何か変わったものを撮影したかったのです。
撮影しやすい北東方面のDSOが良い。
星図を眺めていて、目に入ったのが、やまねこ座の渦巻銀河NGC2683です。
愛称「UFO銀河」。興味をそそられます。
しかし、かなり遠くの銀河、上手く撮影できるかどうかわかりません。
でも、チャレンジするにはちょうど良いし、わくわくします。
望遠鏡とパソコンなどをベランダに出して、撮影基地を設営しました。
↓NGC2683を追尾する、スーパーポラリス赤道儀、モータードライブMD-6、SV503 102ED
撮影の経過と結果
恒星のピント合わせ
昨夜はそれなりに星が見えていましたが、鏡筒を向けやすい方向にあるのは、ぎょしゃ座の1等星カペラでした。
最近、新鮮味がないとか避けていた気がするので、今回はカペラでピント合わせをすることにしました。
実は、この撮影の前に月の撮影をしているのです、ピントはかなりあっているようでした。
↓バーティノフマスクをかけましたが、ほとんどピントが合っているようです。しかし横の光線が少し下に寄っているようですので、少しだけフォーカスノブを動かしました。
↓これでピッタリと考え、固定しました。
↓あまり、初期のピントと変わっていない気がしますが、気持ちだけ・・・
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定の状況
相手は大銀河です。長時間の、それなりに正確な自動追尾が必要です。慎重に極軸を設定しました。いつものSharpCapのPolar Align機能を使いました。
その結果設定誤差は何と8″まで追い込むことが出来ました。これなら2時間くらいの追尾が出来るのではないか。
しかし、ここまで来るとまぐれなんですよね。ねらってできる設定誤差ではありません。方位設定ノブや高度設定ノブが偶然ここまで導いてくれたという感じです。
自動追尾の状況
慎重に極軸を合わせた結果、2時間の自動追尾は可能かと思われましたが、後述するダークフレーム作成の時間40分、自動追尾時間90分強と合わせると、2時間を超え、撮影にかけた自動追尾時間90分あたりから誤差が大きくなってきましたので、少し残念でしたが、92分8秒の自動追尾で撮影を終了しました。
全体としては、追尾誤差の少ない、良質な自動追尾だったと思います。
基準恒星と目標天体の導入
目標天体NGC2683(赤経08h52m、赤緯+33°25′)に関連する星座で肉眼で見える恒星はありませんでした。
一番近い星座はふたご座でした。
そこで基準恒星はふたご座の1等星ポルックス(赤経07h45m、赤緯+28°01′)に決めました。よっぽど明るい夜空でも、ふたご座の双子星だけは健気に見えています。
大銀河は導入に苦しむことも多いのですが、今回は何と1回目のトライで導入に成功しました。
ダークフレームの作成
適当なダークフレームが見当たらなかったので、久しぶりにきちんと作成することにしました。
GAIN250、8秒間のフレームを300枚作成、40分分です。なお、CMOSカメラが計測した気温は9℃でした。
目指す撮影時間(90分~2時間)には届きませんが、経験上、これくらいあればノイズは出てきません。
ちなみにSharpCapでは、メニューの「Capture」→「Capture Dark」と辿れば、ダークフレーム作成のダイアログボックスが出てきて、簡単にダークフレームが作成できます。
撮影結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる影・ハイライト調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
露出8秒間、総スタック時間5528秒(92分8秒、リアルタイムダーク補正使用)、GAIN250。で撮影。
GAIN250でうっすらとNGC2683の影が見えていました。
撮影した結果は、期待したものではありませんでした。もう少しくっきりと写るかなあと期待していたのですが、ぼーっとしていました。右側の被りのようなもの、GIMPで消そうとしたのですが、しつこくて消えませんでした。
まあしかし、UFO銀河にタッチした記念として、この記事を残します。
撮影全体としては、まずまずの納得感です。
まとめ
最初にわくわくしていたものとは違う結果になりましたが、久しぶりに遠い銀河を撮影出来て、しかも、極軸設定、導入、ダークフレーム作成、それなりに中身の濃い撮影になり、楽しむことが出来ました。
しかし今回の画像の出来は、ライブスタックをして、ヒストグラムで炙り出しをして、ちょこちょこと画像編集をするという今のスタイルの限界でしょうか。
しかし、オートガイドが出来ない現状では、デジタル一眼カメラを購入して、フレームをコンポジットして、ステライメージとかで画像編集をして、というところまで思いが及びません。
まだ、今のスタイルで天体観測を楽しめている感じですので、しばらくは今の体制で臨もうと思います。
ASI294MCは欲しいですが・・・高い。
コメント