目次
撮影に至る経緯
やはり今の時期、周辺も含め、いっかくじゅう座が旬というか、そんな気がしています。
最近では、いっかくじゅう座のバラ星雲を何回も撮影したこともありますしね。
そこで、昨夜もいっかくじゅう座周辺の撮影対象を物色していたところ、前から気になっていたDSOがありました。何となくすぐ忘れてしまうので、そのままになっていたのですが、それは、おおいぬ座の散光星雲NGC2359、愛称「トールの兜星雲」(以下「トールの兜星雲」)です。
ググると、とても不思議な形をしている写真をたくさん見ることができます。
これ、管理人の愛機で撮影することは出来ないか?
ということで、昨夜はトールの兜星雲にチャレンジすることになりました。
↓トールの兜星雲を追尾・撮影する、ビクセン社スーパーポラリス赤道儀、ビクセン社モータードライブMD-6、SVBONY社鏡筒SV503 102ED
撮影の経緯及び結果
極軸設定と自動追尾の状況
昨夜から、一昨日のドローチューブの繰り出し幅が維持されている場合には、最初に極軸設定してしまうことに決めました。
そして、基準恒星をピント合わせの対象にすれば、一工程省けます。
ただし、あくまでもドローチューブの繰り出し幅が前回の撮影から維持されている場合に限ります。これが維持されていないと、SharpCapによる極軸設定で、なかなか星を掴んでもらえず手こずることになるからです。
極軸設定の状況
相手が散光星雲となると、それなりに長い総スタック時間を確保しないといけません。そこで今回も、設定誤差20″未満を狙いました。結果として、設定誤差を16″まで、極軸を追い込むことが出来ました。
自動追尾の状況
最終的には約75分の自動追尾時間となりました。管理人の愛機としては長時間の部類に入りますが、追尾誤差は少なく、十分許容範囲でした。極軸の追い込みに成功し、良質な自動追尾となったわけです。
これくらい良質だと、PC画面を見ていてハラハラすることがないので、安心して、リラックスして天体撮影ができます。
恒星のピント合わせと、基準恒星と目標天体の導入
恒星のピント合わせ
トールの兜星雲はおおいぬ座に属しシリウスに近いことから、シリウスは基準恒星候補です。
そこでシリウスを使ってピント合わせをすることにしました。
↓やっぱり明るいシリウス。これをバーティノフマスクを鏡筒に装着して確認します。
↓やはりピントは合っておりました。
基準恒星と目標天体の導入
基準恒星候補のシリウス(等級-1.45、赤経06h45m・赤緯-16°43′)は、先のピント合わせの際に導入済みです。
肉眼で見える、トールの兜星雲(赤経07h19m、赤緯-13°16′)に導いてくれるような恒星は、シリウスしかなく、基準恒星に決定しました。
目標天体トールの兜星雲の導入は至って順調で、2回のトライで成功しました。姿は見えませんでした。
撮影の結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色強調・colorenhance処理・影ハイライト調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
撮影日:2022年2月24日木曜日
露出8秒間、総スタック時間4456秒間(74分16秒)、GAIN300、リアルタイムダーク補正使用。
にて撮影しました。
GAINは、銀河並みの設定です。トールの兜星雲は変わった形をしているようなので、なるべく明るくしようという考えでした。
白飛びしてしまうのと表裏一体ですが、ここは思い切りました。
天の川ど真ん中ということもあり、細かい星が多いですね。トールの兜星雲の存在が霞みがち・・
しかし、その広がりは確認できますし、細部もそこそこ見えます。何と言っても変わった形をしています。
形がないとも言えますね。
もっとスタック時間を増やせば、手?も、もっと鮮明になったかもしれませんが、まずは満足のいく画像が出来ました。
まとめ
散光星雲は、姿が見えないことが多く、導入には苦労するのですが、今回はスムーズでした。
それに、何と言っても、追尾誤差がほとんどなかったのが嬉しかったです。
いっかくじゅう座周辺は魅力的なDSOが多く、これからもこだわって撮影していこうと思います。
コメント
画像処理で星雲をもう少し鮮明に出来ますよ。
もちろんスタック時間を増やすことも重要と思いますが、ベランダからこのぐらい写っているなら時間のある時に画像処理にチャレンジする価値はあると思います。
自分も画像処理は苦手ですが、ぴんたんさんの”FlatAidePro”を使うと比較的簡単に見違える画像になりますよ。
800万画素を超える画像では有償となりますがそれ以下ならいろんな機能を試せます。
それと”Starnet++”もダウンロードし展開します。
”FlatAidePro”内で”Starnet++”の展開先を指定すると”FlatAidePro”内で星無し画像(星雲)と星画像に分けられますので星雲だけを強調して合成すればいいという流れです。
元画像がどうなっているのか分かりませんが、こちらにあがっている画像でしたらまず16bitの画像に変えてください。
(Starnet++では8bitは処理できないので)
”FlatAidePro”での処理の流れ的には
・ソフト的にフラット処理
・レベル補正(被り補正)
・”Starnet++”にて星雲のみを抽出
・保存先に自動的に星雲画像と星画像が作られているのでGIMPなどで強調して合成する
という感じです。
意外と簡単ですよ。
興味があったら”FlatAidePro”のマニュアル(PDF)を見ながら、必要なところだけを予習してみてください。
自分はこのソフトに出会って画像処理がかなり身近に感じられました。
ぴんたんさん/ほんまかさんほかいろんな先人たちが画像処理のプロセスを書いてくれていますので一読されるのも良いと思いますし、動画でもいろいろありますね。
おそらく使っているソフトでの解説ではありませんが、手法は十分参考になりますので、それを自分が使うソフトに置き換えて習得する感じですかね。
(以前のGIMPではほぼ出来なかったレイヤー関連の処理も今ではできるみたいですから、Photoshopの解説だから参考にならないということは無いと思いますよ)
コメントでの長文失礼しましたm(__)m
カメラde遊ingさん、コメントありがとうございます。
これまでも画像編集には興味がありましたが、ソフトにお金がかかりそうだなあと思っていましたが、このように素晴らしく便利なものがあるのですね。
是非チャレンジしたいと思います。
bit数は、16bitのはずですが、ブログにアップロードする際に8bitになってしまっているのかもしれません。とにかく調べて、16bitにします。
なんだか画像編集が楽しみになった来たなあ。貴重なアドバイスをありがとうございます。感謝します。
これからもよろしくお願いします。
またしても罠に嵌めてしまったかもしれません。
先程、ネットを徘徊していましたら”Starnet++”が無くなっていることに気が付きました。
どうやら”V2”に移行したことで旧バージョンは無くなったようです。
いろいろ探してみましたが見つかりませんでした。
旧バージョンのReadme.txtを確認すると再配布はOKなようなので自分のブログに貼っておきます。
お詫びかたがた”FlatAidePro”での処理の流れも書いておきますのでついでにご覧ください。
これからブログを書きますので、30分ぐらい後にご訪問くださいね。
ダウンロードが済んだらコメントください。
コメントがあったら”starnet++”ファイルは削除しますので・・・。
カメラde遊ingさん、コメントありがとうございます。
罠にはめたなんてそんなとんでもないです。全然気にしてません。
たしかにV2バージョンになっていました。それは見つけることは出来て、一つはダウンロードして、テストをすることが出来ました。すごいですね、あれは。あれなら、本体に影響を受けることなく背景を編集することができますね。
これからカメラde遊ingさんのブログへ参ります。よろしくお願いします。
大変助かっております。これからもよろしくお願いします。