経緯
先般、天文ガイドの付録の季節別方角別で主なDSOを分類したポスターに掲載されている秋のDSOのうち、まだ撮影していないDSOがあることを記事にしました。
これまで、そのポスターの秋のDSOを制覇すべく撮影を進めてきました。
昨夜のねらいは、ペルセウス座の惑星状星雲M76「小あれい星雲」。
視等級12.2の強敵です。
しかし、ペルセウス座は、もうこの季節、早い時間に屋根の向こうに昇っていってしまい、ベランダ撮影が難しい天体です。プチ遠征を待つ手もありましたが、撮影を決意。
しかも、昨日は在宅勤務であったため、終業時間ぴったりに仕事を終えて、早めにベランダ撮影基地を設営できました。
少しでもペルセウス座が低空にある時を狙うのです。
さっそく、準備に取り掛かりました。
M76の場所がいまいちわからなかったので、M76を目盛環で導入してみて、すでに軒の下に望遠鏡の筒先が来ていれば、撮影はおじゃんです。時間との戦いです。
撮影結果
極軸設定
いつもより念入りに極軸設定して、SharpCapのPolar Alignでの設定誤差は20″程度。「Excellent」な極軸設定となりました。
これでほとんど追尾誤差なく撮影ができるはずです。
しかし、自動追尾の結果は、画角の縦1/4を失うライブスタックとなってしまいました。
ここのところ絶好調だったので、少しお休みか、ご機嫌が斜めだったということでしょう。と、自分を納得させました。
導入
空は澄んでいて、そこそこ多くの恒星が肉眼で確認できました。
ペルセウス座の恒星を選びたかったので、おそらく、この恒星はペルセウズ座だろうと予測して、望遠鏡に導入し、例のサイトで調べたところ、ペルセウス座のミルファク(赤経03h24m、赤緯+49°51′)であることが分かり、基準恒星に選びました。
目標天体M76(赤経01h42m、赤緯+51°34′)まではかなり近いですね。
↓ミルファク
しかしなぜか、3回くらい導入に失敗しました。最初の導入で変な位置を導入してしまい、混乱してしまったのが原因です。一発目の導入は大事です。その後のリトライのベースになるからです。
導入してみると、軒ギリギリのところにM76はありました。
30分の撮影くらいなら何とかなるかと思いましたが、かなりきわどい位置にありました。
ペルセウス座がこの時間にこんなに昇っているのかと驚いた次第です。
M76は、導入してみると意外にも、その姿をSharpCapのフレーム画面に見せました。
姿と言っても、わずかな影なのですが、赤経赤緯の数字からしてもM76に間違いありません。
視等級が12.2と、とても暗いので、姿は見えないかと思いましたが、導入が楽で助かりました。
撮影結果
[撮影をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるライブスタック(リアルタイムダーク補正機能使用)
画像編集:画像編集: GIMPによる色レベル調整
その他:UV/IRカットフィルター使用
露出8秒間、総スタック時間1800秒(リアルタイムダーク補正使用)、GAIN250。
明るくて白飛びしてしまうのを嫌い、少し抑えめのGAIN設定です。
M76は、なんとか30分間軒を越えてしまうことがなく(本当にギリギリだった)、目標の1800秒間のライブスタックを行うことが出来ました。
中央にある、まさしくあれい状のものが、M76「小あれい星雲」です。
「大」あれい星雲よりユーモラスであれいに近い形をしています。
拡大してみると、こんな感じです↓中央のくびれも確認できます。
まとめ
これで、また一つ、秋のDSOを一つ制覇しました。
管理人の好きな惑星状星雲であるところもまたよかったです。目の保養をさせていただきました。
天文ガイドの付録のポスターに掲載されていて撮影していないのは、NGC55のみとなりました。
これはちょうこくしつ座にあり、遠征しないと、ベランダからでは撮影できない天体です。
今回気になったのは、追尾誤差が大きかったこと。上記の画像では、誤差部分を切り取ってしまっているので分からないのですが、原因は何でしょうね。
極軸設定は「Excellent」でした。
赤道儀が何かの拍子に撓んだか、ずれたかしか思いつきません。この分野で悩んでいるのは、管理人にとって精神衛生上良くないので、次のDSO撮影のトライで確かめたいと思います。
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