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【天体観測】オリオン座のHⅡ領域バラ星雲の真ん中あたりを撮影

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撮影に至る経緯

天文ファンであれば、一度は撮影してみたいと思うDSOの一つが、バラ星雲ではないでしょうか。
管理人も、いつか撮影したいなあと思っていたのですが、使用しているカメラがASI462MCであり、高感度ではありますが、惑星専用に開発されたといってもいいモデル。
センサーサイズが、1/2.8型、5.6×3.2mmであり、とてもバラ星雲が画角に収まるものではありません。

バラ星雲は、NGC番号2237、2238、2239、2246から構成されます。それぞれ発見した人が異なり、バラ星雲は一つのNGC番号ではないようです。見た目は一体として見えますね。

そして、その広がりは、満月の2倍以上。
月の視直径は、最大で33′32″、最小で29′28″。
バラ星雲の視直径は、なんと、80′×60′!月の2倍以上あります。
ただでさえ、ASI462MCには満月の半分しか導入できないのに、どうやって撮影したらよいのでしょう。

あこがれのバラ星雲、何とかして一部でも撮影したい。
幸いバラ星雲は散開星団NGC2244を中心に広がっています。そこで、この位置を撮影して、深紅の色のバラの中心部を見てみたいと思いました。それなら何となく格好のついた画像になるはずです。

人生初、バラ星雲への初挑戦です。

バラ星雲を追尾中のビクセン社スーパーポラリス赤道儀、同モータードライブMD-6、、SVBONY社鏡筒SV503 102ED。

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撮影の経過及び結果

恒星のピント合わせ

毎晩天気が良く、毎晩天体観測できているので、ドローチューブはもう固定状態です。バーティノフマスクでピント合わせする必要もないと思いましたが、後で後悔したくないので、念のためピント合わせを行いました。
今回は、新鮮味は求めず、効率を重視し、後述する基準恒星になるであろう恒星、オリオン座のベテルギウスでピントのチェックを行いました。

↓ベテルギウス。これにバーティノフマスクを装着してみると・・・

ちょっと明るすぎて、中心部分がよく確認できないので、GAINを下げてチェックし直しです。

↓三本の光線は一点で交わっているように見えます。昨夜もフォーカスノブをいじることはありませんでした。

極軸設定と自動追尾の状況

極軸設定の状況

今回の相手は、とにかく淡いHⅡ領域。ノーフィルターで臨むには長い自動追尾時間が必要です。気合を入れて、SharpCapのPolar Align機能を使い、極軸を設定しました。
その結果、設定誤差24″まで追い込むことが出来ました。「Excellent」です。
これで長い総スタック時間を確保することが出来そうです。

自動追尾の状況

結果としてはほとんど追尾誤差の無い自動追尾ができました。
しかし残念ながら、なぜか途中から雲が沸いてしまい、総スタック時間(=自動追尾時間)は20分にとどまってしまいました。
DSOの世界に足を踏み入れたばかりならば20分で我慢もしたでしょう。
しかし今はそれでは満足できません。特に相手はHⅡ領域、一時間の自動追尾をする気でいました。
とても残念です。

基準恒星と目標天体の導入

目標天体バラ星雲(赤経06h31m、赤緯+05°02′)へ向かう基準恒星の候補は二つ。

①オリオン座のベテルギウス(等級0.45、赤経05h56m・赤緯+07°24′)
②ふたご座のアルヘナ(等級1.90、赤経06h38m・赤緯+16°22′)

どちらも一長一短あるのですが、導入のしやすい①を選びました。
ファインダーを覗く姿勢は①が苦しいのです。
しかし、それでもファインダー内に明るい星があればそれがベテルギウスとわかります。
②だと、周辺の小さな星と判別が難しいところもあって、一撃で迷わず導入できるベテルギウスを基準恒星にしました。

導入には、また赤緯目盛りを4°以上読み違えてしまい、迷子になり、バラ星雲の導入には6回のトライを要しました。ここがすんなりいけば、雲が沸いてくるまでの時間を総スタック時間に当たられたのに、残念です。

撮影結果

[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色強調・トーンカーブ調整
使用フィルター:×0.5レデューサー、UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ

露出8秒間、総スタック時間1200秒間、GAIN250、リアルタイムダーク補正使用。
にて撮影しました。返す返すもあの雲が恨めしい・・・20分ではHⅡ領域の雲は写らないだろうなあと思っていましたが、思った以上に強調もでき、形にはなったかなと・・・
バラ星雲中央近くの大きな星も写ったし、赤い雲のある所とそうでない所の違いも分かります。
とにかく、全画面真っ赤というのは避けたかったのですが、目論見通りとなりました。
astrometry.netによれば、バラ星雲のうち、写ったのはNGC2246、NGC2239、RosetteBとのこと。
散開星団NGC2244はヒットしませんでした。
これは最後の微調整を目盛環ではなくて勘で、ネットで散見される画像の中央の星に似ているところが中心になるように、モータードライブで微調整したからです。
まあ、きれいだからよいか。

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まとめ

今回、バラ星雲にASI462MCで挑戦するという大胆な計画で臨みましたが、まずまずの成果が上がったと思います。総スタック時間がもっと長ければ、もっと美しく写ったと思います。
しかし、バラ星雲にタッチできたことは大きいです。
これまでは指をくわえてみているだけでしたが、今回その姿を自分の力で撮影することが出来ました。

しかし、ここ何度かの目盛環の読み違いは残念です。もう歳でしょうか(そうです)。
次からはビシッと目盛環をミスなく使って、1、2回のトライで目標天体を導入しようと思います。

やっぱり愛称のついたDSOは良いですね。引き続きこれからも、愛称のついたDSOに挑戦していこうと思います。

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コメント

  1. カメラde遊ing より:

    ライブスタックとういうのが自分には分かりませんが、保存できるのならバラ星雲全域をずらしながら撮影して合成すればいいんじゃないですか?

    • sanpojin より:

      カメラde遊ingさん、コメントありがとうございます。
      ライブスタックは、撮影しながらスタック(コンポジットと同義?)していって、好みの枚数(時間)まで続けて、スタックが終わった画像が保存できます。
      確かに、モザイク撮影という手がありますね。月とかは頭にありましたが、DSOに適用することは気づきませんでした。
      アドバイス感謝いたします。
      時間はかかるけれど、確実な方法ですね。しかし、淡いDSOのモザイクのピースの位置決めが難しそうです。
      考えてみますね。

      いつもありがとうございます。

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