目次
撮影の経緯
鋭意進めている、天文ガイドの付録ポスターに記載されている冬のDSO11個の撮影制覇。
6個まで撮影が終了し、あと5個という、折り返し地点まで辿り着きました。
残る5個のうち、最も難しいのはおうし座の散開星団M45「プレヤデス星団」です。
広がりが大きく、淡いガスを伴っています。
これをどうやって、できるかぎり画角に収め、星間ガスも表現するか。
しかも、現在天頂付近にあり、捉えるのが難しいです。
管理人の家のベランダは手狭で、折角ファインダーで捉えられる天体なのに、覗くことができません。
とにかくやってみようということで、昨夜テスト撮影を試みました。
↓プレヤデス星団を追尾中のSV503 102ED、スーパーポラリス赤道儀、モータードライブMD-6
撮影の経過及び結果
恒星のピント合わせ
一昨日のオリオン大星雲の撮影のピント位置が残っていて、調整の必要がありませんでした。
それは、久しぶりに、ぎょしゃ座のメンカリナンで確認しました。
↓メンカリナンです。これにバーティノフマスクをかけます。
↓どうやら調整の必要は無いようです。三本の光線は一点で交わっているように見えます。ここでピントを固定しました。
極軸設定と自動追尾の状況
極軸設定
いつものようにSharpCapのPolar Align機能を使いました。プレヤデス星団の星間ガスを炙り出すにはかなりの長時間の追尾が必要と思い、いつもより慎重に追い込みました。
その結果、設定誤差15″まで追い込むことが出来ました。
これで、望遠鏡やベランダ床の撓みさえなければ、長時間の自動追尾が可能なはずです。
自動追尾の状況
極軸を上手く追い込むことが出来たこともあり、90分の長時間ノータッチライブスタックを、ほとんど追尾誤差無しで行うことが出来ました。
結構、自動追尾は気まぐれで、極軸を相当追い込んでも、追尾誤差で失敗する時は失敗します。昨夜はラッキーな日でした。望遠鏡のバランスも慎重に合わせた結果かもしれません。
基準恒星と目標天体の導入
基準恒星は、プレヤデス星団の近くでは一番明るい、おうし座の一等星アルデバランとしました。
↓アルデバラン
当初、赤経軸の西側に望遠鏡を回し、プレヤデス星団の導入を試みましたが、赤経軸クランプに赤緯微動ハンドルが干渉することが分かり、断念。短時間の自動追尾しかできないのです。
そこで目盛環での導入を諦め、鏡筒を赤経軸の東側に回して導入を試みました。
大体の位置に鏡筒を合わせ、Astrometry.netで現在位置を確かめながら、徐々にプレヤデス星団に迫っていく戦略です。
↓それでも、ベランダの柵にはほとんど隙間がありません。しかし、赤経軸の西側に鏡筒を置くよりは長時間の追尾が出来ます。
6回のチャレンジで、ようやくプレヤデス星団の一部にたどり着くことが出来ました。
撮影結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色強調
使用フィルター:UV/IRカットフィルター
撮影場所:自宅ベランダ
露出8秒間、総スタック時間5400秒、GAIN250。で撮影しました。
薄い星間ガスを炙り出すには、GAINはもっと高い方が良いのか迷いましたが、スタック画面の星々がかなり明るかったので、250で決行しました。
↓星間ガスも写り、管理人的には、かなりの出来栄えと見ました。
Astrometry.net によれば、The star Sterope I (21Tau)、The star Taygeta (19Tau)、The star 18Tau、The star Celaeno (16Tau)といった、プレヤデス星団の構成星が含まれています。
勘で導入したにしては上出来です。2時間の撮影も可能な勢いでしたが、ベランダの柵に干渉するため90分が限界でした。
構図は、m45.jpg (1200×675) (cocolog-nifty.com)のように上手くはいかなかったのですが・・・
↓もう少し炙り出したものもあるのですが、少しノイズが目立ちます。総スタック時間をもっと増やすことが出来れば・・・
まとめ
今回、導入の作業がかなり疲れるものになりました。プチ遠征すれば、広々としたところで、目盛を見ながら導入できたのでしょう。
ベランダの柵の干渉もなかったでしょうから、もっとノイズの少ない、星間ガスがよく写った画像になったはずです。
しかし、90分間という長時間ライブスタックが実現できたのは大きいので、一旦、プレヤデス星団もクリアとします。一生になかで、もっとも良いプレヤデス星団の画像が出来たのですから、テスト撮影として切り捨てるにはもったいないです。
これで、撮影状況は以下のようになりました。あと4つのDSOが残っています。
とも座は、南の低空ですので、プチ遠征が必要になるかもしれません。
済①かに星雲(おうし座)
済②M35(ふたご座)
③M41(おおいぬ座)
済④M42オリオン大星雲(オリオン座)
済⑤M45プレヤデス星団(おうし座)
⑥M46(とも座)
済⑦M50(いっかくじゅう座)
済⑧M78(オリオン座)
⑨ハッブルの変光星雲(いっかくじゅう座)
済⑩コーン星雲、クリスマスツリー星団(いっかくじゅう座)
⑪NGC2477(とも座)
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