撮影に至る経緯
オリオン大星雲の本番撮影(プチ遠征して行います)に向けて、赤道儀とモータードライブの調子が知りたいと思い、オリオン座周りの手ごろな散開星団を撮影したいと思っていました。
それが、NGC2169でした。こじんまりしていたので、久しぶりの「小さな散開星団」第4弾となりました。
NGC2112も考えましたが、その時はまだ公園の木立を越えておらず、管理人の自宅のベランダからは見えなかったのです。
NGC2169は別名37星団と呼ばれているそうです。撮影前にはリサーチ不足で知らなかったので、撮影した画像の「37」は斜めになってしまいました。
事前にわかっていたらカメラの向きを変えたのに、残念ですが、37の形は分かるので、ご覧いただければと思います。
撮影の経過の結果
恒星のピント合わせ
DSOの撮影は、まずピント合わせから始まります。
昨夜はふたご座のカストルで、バーティノフマスクを使い、ピントを合わせました。
ピント調整前。フォーカスノブのみではだいたいこんな感じになります。
鏡筒の先にバーティノフマスクを取り付けます。明らかにピントがずれていることが分かります。
フォーカスノブで徐々に追い込んでいき、↓のようになり、ピント合わせは完了です。
滞りなく終わりました。まあ、ここで躓くことはほとんどありません。
↓ピント合わせ終了後のカストル
極軸設定
赤道儀とモータードライブの作動具合を試すものですから、より慎重に極軸を設定することが必要です。
いつものとおり、設定誤差30″角内の「Excellent」を狙いました。東西調整に手間取り、行ったり来たりしましたが、何と、設定誤差10″に設定することが出来ました。
素晴らしい出来です。
もっとも、1′角に収まれば、それ以下は気分の問題ではないかと思い、試してみたいのですが、怖くて検証できていません(^-^;
自動追尾の結果
極軸設定が正確なだけあって、約1時間のノータッチライブスタックを、ほとんど追尾誤差無しで行うことが出来ました。ほとんど、ということなので、追尾誤差は発生していたのですが、十分許容範囲だったということです。昨夜はベランダや三脚のたわみが極小だったということでしょうか。
もう30分はいけそうでしたが、何らかの事故が起こると嫌なので、自動追尾が正確なうちに終了しました。
自動追尾が正確だと、心が落ち着きます。
↓NGC2169を追尾中のSV503 102ED
基準恒星と目標天体の導入
基準恒星には、オリオン座だけでなく、ぎょしゃ座のエルナトとか、ふたご座のポルックスなども考えられましたが、目標天体への距離では、やはりベテルギウス(赤経05h55m、赤緯+07°24′)が一番でしたので、これを基準恒星に設定しました。
目標天体NGC2169(赤経06h08m、赤緯+13°59′)まで、ほんの少しの行程です。
目標天体NGC2169までは、二度のトライで導入に成功しました。
↓べテルギウス。ピントも合っているようです。
撮影結果
[撮影をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるノータッチライブスタック
画像編集:画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによるトーンカーブ調整
使用フィルター:UV/IRカットフィルター使用
撮影場所:自宅ベランダ
露出8秒間、総スタック時間3656秒(1時間56秒)、GAIN250、リアルタイムダーク補正使用。
の設定で撮影しました。
久しぶりの散開星団に、心を落ち着けることが出来ました。このところ、派手な存在のオリオン大星雲にかかりっきりで、少々疲れていたので・・・
この散開星団も天の川流域にあるので、星が多くて賑やかなのが良いです。
なお、37星団については、以下のように回転させると分かりやすいですね。確かに37番です。
見つけた人、すごいです。
まとめ
オリオン大星雲の撮影に向けてのテストだったとはいえ、自動追尾も順調で、楽しくテストをさせていただきました。
散開星団は、管理人が最もこだわってきた天体ですので、楽しいのです。いろいろな大きさ、星の数、多種多様です。
NGC2169のように面白い形をしたものもあります。
そして今回はこじんまりとしていたので「小さな散開星団」シリーズに加えさせていただきました。
まだまだ撮影していない散開星団があります。そして散開星団は年がら年中撮影が可能です。
これから寒くなって天体観測も大変になってきますが、楽しみです。
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