あるミッションを帯びていた管理人
昨夜も良く晴れて、天体観測日和でした。
かに星雲を探す管理人にとって、奇麗だけど厄介者の月光もありませんでした。
そして何より管理人は、ミッションを帯びていました。
もちろんかに星雲に迫るためのミッションです。
ずっとかに星雲捜索を助けてくれている訪問者様からの提案で、行うことになったミッションです。
どのようなミッションなのか
そのミッションとは、おうし座ζ星から西北に約1°の距離にあるかに星雲に、順を追って迫っていき、それでもだめなら、その過程で撮影した画像を分析して、かに星雲にたどり着く方法を考えようというものと理解しました。
【撮影手順について】
(1)おうし座ζ星をファインダーの中心に捉える。
(2)ζ星を撮影する。
※そもそも基準になる恒星を正しく捉えているか、の確認。
(3)ファインダーを見ながら、北へ約0.9度(月の見かけの約2個分)向きを変える。
(4)撮影する。
(5)「8倍速ボタン」を8秒間押す。(4)へ。
(6)(4)と(5)を6回繰り返す。
というものです。
ミッションの心配な点
今回のミッションは、機械的にできるように見えますが、ζ星から北へ転進させるのは勘に頼るところが大きいです。
ファインダーの視野が7°なので、だいたいそれの7分の1北に望遠鏡を向ければよいのですが、この7分の1をなるべく正確につかめるのか、不器用な管理人には難しいところでした。
ミッションの実行
しかし、心配してばかりではいられません。
何もしないのでは、かに星雲には一歩も迫れませんから。
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
ビクセンNEWポラリス-80M、D=80mmアクロマート、F=910mm、×0.5レデューサー、CMOSカメラASI462MC、モータードライブMD-5(ビクセン)、撮影・スタッキングソフトASILive
撮影場所:自宅ベランダ
ASILiveで100秒間撮影及びリアルタイムスタッキング、露出10000ms、GAIN:LOW、GIMPによる色レベル。トーンカーブ補正
(1)(2)おうし座ζ星をファインダーの中心に捉えて撮影する。
今回の撮影は6回繰り返す場面もあり、いつものDeepSkyStackerでは倒れそうになるので、他の訪問者さまのアドバイスもあり、ZWO社のソフトで、撮影をしながらスタッキングも同時にしてくれるASILiveを使いました。GAINがLow、Middle、Highの三段階になるなど、少し物足りないですが、省力化には抜群の効果です。
幸い、ASILiveはきちんと動作してくれました。今までは失敗することが多かったので、安心しました。
さて、ζ星はこれです。だと思います。
そのあたりも、今回のミッションで確認します。
(3)ファインダーを見ながら、北へ約0.9度向きを変える。
手に汗握りましたが、赤経微動ハンドルをゆっくり北側へ操作しました。
なかなか納得できる距離を動かせません。
ファインダーの視界の約7分の1、月の見かけのの二個分、最後はえいやあで決めました。
(4)撮影する
一回目の撮影 19:17スタート
「8倍速ボタン」を8秒間押す。
訪問者さまもビクセンのモータードライブをご使用なので、これで伝わります。追尾速度を8倍にするスイッチが付いているので、それを押して8秒間数えました。
この先、撮影するごとに8倍速ボタンを8秒間押します。
徐々にかに星雲に迫っていくのです。
二回目の撮影
望遠鏡の設置位置が少しずれていたのか、10秒間の露出でも流れてしまいました。
三回目の撮影
四回目の撮影
五回目の撮影
六回目の撮影
二回目にトライ
淡々と作業を進めましたが、何も起こりませんでした。
これを訪問者様に分析してもらうのか・・・
何か、申し訳ないし、やり残したことがあるような気がします。
北へ0.9度、これがずれていたのかも・・・
そこで思い切って、夕食をはさんで、二回目にトライすることにしました。
ファインダーを見ながら、北へ約0.9度向きを変える。
1回目より、少し多めに移動させました。ほんの少しだと思いますが・・・
撮影する 20:45スタート
ASILiveが自動でスタッキングしてくれたのでできる二回目です。12枚の画像のコンポジットはつらいですから。
一回目の撮影
二回目は飛ばして三回目の撮影
撮影したもののファイルにエラーがあったようで、開くことも編集することもできませんでしたので、実質三回目の撮影です。
四回目の撮影
はっ、こ、これは!話には聞いていた、佐渡島型の雲!
かに星雲だー!!訪問者さま、ありがとうございます!
初めて管理人の望遠鏡で、星雲という星雲を見ました。
感激です。
お化粧もしてあげました。
五回目の撮影
六回目の撮影
これで、ミッションは完了。大成功です。
感動しました。
訪問者さま、あなたは神です。
再現性の問題
次にかに星雲を見たくなったらどうしたらよいのか、北へ0.9度というのが何よりも重要なポイントです。
これができれば、あとはモータードライブが連れて行ってくれます。
で、三度目は、撮影なしでチャレンジしてみました。
↓奇跡的というか、再現できました。
ちょっと今夜も試してみたいです。
眼視を忘れました
昨夜はPC画面とのにらめっこ(スタッキングの過程が見られる)をしていたことがほとんどでしたが、アイピースで観測するのを忘れました。
これは、今夜、もう一回試してみたいと思います。
まとめ
あらためて、訪問者さまに、感謝いたします。
なんか、これを勢いに、他のDSOもどん欲にみてみたくなりました。
はまれば、惑星観測より楽しいかもしれません。
そのためには、極軸の正確性を上げて、今はファインダーまでの導入ができている目盛り環で管理人のCMOSカメラの2.8″の画角に導入できるように出来たらいいなあと思います。シビアそうだな。
あとは星座ですね。管理人は、あまりよく知らないので、目盛り環の出発点になる恒星をあまり知らないのですよ。この辺りも充実させていきたいです。
コメント
ネ兄 かに星雲撮影成功!
おめでとうございます。
はやぶさ2のカプセル帰還とあわせ、ハッピーな日曜の朝をありがとうございます。
後は、精度を上げる、画質を上げる、他の天体へ…といった目標でしょうか。
※線状に写っている恒星像が、コマごとに方向が異なっているのが謎です。今後の目標達
成のためにも原因が分かるとよいですね。極軸の精度や、望遠鏡のバランス等は大丈夫で
しょうか?
※参考までに、1巡めでは、スタートのζ星が間違いです。その後の「北へ0.9度」は、
撮影結果では0.78度なので誤差の範囲に収まっています。スタートが肝心ですね。
※もし、撮影回数を減らすのであれば、以下をお試しください。
(2)ζ星を撮影する。
(3)ファインダーを見ながら、北へ約0.9度(月の見かけの約2個分)向きを変える。
(4a)「8倍速ボタン」を27秒間押す。
(5a)撮影する。→かに星雲が中心に写るはず。
※このようにすると、撮影は「ζ星」「かに星雲」の2回だけ。
※中心に来てなくても、かに星雲は写野内にあるはず。あとは、「2倍速ボタン」「停止
ボタン」で調整してください。
まいくろさん、今回は本当にありがとうございました。感謝に耐えません。
本当に今日はハッピーな日です。
他の天体も見たいです。これから、トライしていきたいと思います。
極軸は実は頭が痛くて、ベランダに目印を書いてそこに望遠鏡を設置しますが、木造住宅のせいなのか、望遠鏡の周りで僕がゴソゴソすると、ベランダの床が沈んで、微妙に望遠鏡が揺れるんです。完全にじっとしているわけにもいかず。。。もちろん極軸が甘いのはありますので、ここは追求しないと。あと望遠鏡のバランスも見直してみます。
一巡目のがζ星でなかったのは笑い話というか、驚きました。そういえば、目盛り環でファインダーに導入したときに、星が二つファインダーに入ったような。。そっちがζ星だったんですね。二巡目をやって良かったです。北への方向転換も誤差の範囲で安心しました。これで月2個分が大体把握した気がします。
なるほど、そうすれば、簡易にかに星雲にたどり着きますね。今夜試してみたいと思います。
星は楽しいですね。昨夜と今日は特に楽しいです。
重ね重ねありがとうございました。
おぉ、カニ捕獲、おめでとうございます!
ネットで、広角気味の写真を見つけてきて、少しづつ星をたどっていくのも一つの方法かな、、
画像を反転して印刷しておくと良いかもしれません。
眼視などで星雲を探す場合に、スターステップだったかな、やっぱりひとつづつ目印になる星をたどって入れていくのですが、カメラでも同じような方法でやってみるのも良いかもしれません(但し、カメラの向きに注意が必要ですが・・)
明るい小さめな星雲でしたら、この時期だと、
ふたご座のエスキモー星雲とか、オリオン座大星雲のすぐ下にあるNGC1999とか、あとは球状星団なら、夕方なら西空にM15が未だ見えていると思います。うさぎ座のM79は位置が少し難しかったような・・・。
ハッブルの変光星雲も明るくて良く写る天体ですが、目立つ星がない上微光星が多いところなので、入れるのがちょっと大変かなあ、、ただハッブルの変光星雲は、25年以上前ですが、相模原市から13cm反射でも眼視で見えたので、、、カメラのピントをまず出しておいて、ラックピニオンは動かさずに延長筒とアイピースの抜き差しで眼視でのピントをあわせると、まず眼視で目星をつけておいてから、カメラを取り付けて撮影、という方法もアリかなと思います。
やり方はいろいろとあると思いますので、ぜひ楽しみながら、いろいろやってみてください。
UTOさん、アドバイスとお祝いの言葉、ありがとうございます!
やはり星図を見ながらたどっていくのが基本なんですね。僕は星座に弱く、追うのに難儀します。そのあたりはこれから勉強したいと思います。
画像を反転して印刷・・・星を追いやすくなるということでしょうか?
ふたご座ならうちから良く見えるので、狙いやすいです。エスキモー星雲は、今調べたら個性的な姿ですね。是非見てみたいです。M15もネットで見る限り、狙いやすそう。うちからだと角度的にちと苦しいかな。
変光星雲は、眼視も可能なんですね。眼視できるほど見つけやすいことはないですから、狙って見たいです。だんだん欲望が大きくなってきました(笑)
小口径でも狙えるDSOはたくさなるんですね。これから勉強しつつ楽しんでいきたいと思います。
M1導入おめでとうございます。ブログの記事ずっとハラハラしながら見てました。
導入できた時はもう大興奮だったのかと思います。そんな気持ちがが伝わってくるっような記事でした。自動導入では決して味わえない感動ですね。あきらめずに続けた結果だと思います。
M1に比べたら例えばM42とかは大きくて遥かに楽かと思います。M42は明るいので短時間でも十分色が出て迫力があり、M1とはまた違った面白さがある思います。
またいろいろチャレンジしてみてください。
Samさん、お祝いの言葉とアドバイス、ありがとうございます!
本当にそうでした。画面にかに星雲が現れた時は、「あっ」て声を上げましたよ。興奮しました。惑星のWavelet処理をした時も興奮しましたが、今回の方が上だったでしょうか。
惑星の撮影にも相当はまりましたが、DSOにも相当はまりそうです。毎日、何をターゲットにしようか考えるのが楽しみです。
M42も楽しみです。きれいに撮りたいと思います。短時間で十分色が出るんですね。チャレンジしてみます。
これからも、よろしくお願いします。