アトラス彗星
2019年末に発見され、2020年1月に急激な増光を見せたことから大彗星となることが期待された彗星です。彗星記号はC/2019Y4。Cは、発見当初であることを示す仮記号、2019は、発見された西暦年を示し、Yは12月後半の4番目に発見されたことを示します。この彗星、軌道要素なども確定していない、まだ仮段階なのです。アトラスATLASは、なんと、Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System、小惑星地球衝突最終警報システムの名を冠する大物で、発見当時は急激な増光を見せたことから、大彗星になることが期待されていました。今年の3月には7等級まで明るくなっていました。
ところが、今年の4月になると、彗星が減光を始めました。そして、イタリー北部ステロジチーノと、パレー座にある二箇所の望遠鏡からの観測で、彗星の核が2個になっていることが確認されました。アトラス彗星は、重力の強い天体のそばを何度も通過した影響に耐えられず崩壊を始めてしまったんですね。その後の観測で、三個の核、四個の核も確認されました。さらに4月下旬の観測では25個の核の破片が観測されました。
しかし4月中旬には9.4等級あり、一般に彗星核の崩壊は急速に進みますが、この観測結果によれば、崩壊は比較的ゆっくりと進んでいるようです。
当初、ATLAS彗星の明るさのピークは、1等級からマイナス等級に達することが期待されていました。もしそうなっていたら、肉眼でも余裕で観測が可能でした。明るい天体専門の管理人も観測に繰り出したかもしれません。ハレー彗星並みのフィーバーになっていたでしょう。
最初に期待されながら、結果を出しきれなかったATLAS彗星。なんだか、人間界にも似ている気がして、寂しいものがありますね。
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