目次
撮影の経緯・ねらい
先般、天文ガイドの付録の季節別方角別で主なDSOを分類したポスターに掲載されている秋のDSOのうち、まだ撮影していないDSOがあることを記事にしました。例えばちょうこくしつ座の銀河NGC55など全部で8天体です。
●掲載されているDSO
アンドロメダ銀河、M33、M76小あれい星雲、NGC55、NGC247、NGC253、ペルセウス座二重星団、らせん状星雲
このうち、NGC55以外は撮影が終了していました。
そして、昨夜、NGC55を撮影して、秋のDSOを制覇すべく、プチ遠征を決行。
この天体は、障害物などの関係で、管理人の家のベランダからは撮影できないのです。
そして、上記記事のとおり、撮影に一度失敗しています。
そこで、今回が再挑戦です。
外気温9度。先週のプチ遠征よりもシビアな環境での撮影です。
遠征場所が河川敷の駐車場とあって、川面を渡る空気が冷たかったです。
ズボンを二重に穿いて、上半身は、4枚の服を重ね着してダウンジャケットを着て、防寒はばっちり。
使い捨てカイロも二つ使用しました。
そして、いつものように撮影基地を設置しました。(↓NGC55を撮影中の撮影基地)
そして、撮影に向けて、行動を開始しました。
撮影の経過・結果
バーティノフマスクによる恒星のピント合わせ
SharpCapのPolar Align機能を使う前に、恒星のピントを合わせておかないといけません。
ここを適当にすると、極軸設定が出来ないし、撮影結果で、ぼてっとした恒星にがっかりすることになります。
例によって、バーティノフマスクの登場です。
今回の基準恒星となる、ほうほう座のアンカーを導入し、バーティノフマスクでピントを合わせました
↓真ん中の線が、微妙に上にずれているような・・・
↓もう一息追い込んだら、このような形になりました。これでピントは合ったと思います。
極軸設定
いつものようにSharpCapのPolar Align機能を使用し、めでたく「Excellent」な結果を得ることが出来ました。相手は恐らく淡い銀河。1時間のライブスタックをするつもりでした。
だから、少しでも精度の高い「Excellent」な極軸設定が必要だったわけです。
そして、↓のように20″の誤差というところまで追い込むことが出来ました。
追尾の結果としては、南の低空の天体の追尾という難しい状況下で、管理人にとっては許容できる誤差で、一時間のライブスタックをやり遂げました。
目標天体の導入
NGC55は、ちょうこくしつ座に属してはいますが、ほうおう座にも近い位置にあります。
目を凝らして南の空を見ましたが、いつものとおり、みなみのうお座のフォーマルハウトと、くじら座のディフダしか目に入りません。
いつもプチ遠征では、この二つの星を基準恒星にしていて、導入作業に新鮮味がありません。
そこで、もう一度、目を凝らして南の低空を見つめました。
ありました、ほうおう座のアンカー(赤経00h26m、赤緯-42°18′)です。二等星なのに、見つけるのに苦労しました。しかし、望遠鏡の視野に入れれば、こっちのものです。
NGC55(赤経00h14m、赤緯-39°11′)は、アンカーの北西すぐ近くにあり、基準恒星としては申し分なく、アンカーを基準恒星に決定しました。
しかし、マイナス赤緯値、赤緯目盛りが赤経軸の真下に来てしまい、目盛を読むことができません。
仕方なく、撮影基地のアスファルトの上、赤道儀の下に仰向けに寝転んで、赤緯値を合わせました。
なんだか、広いところで寝ころぶって良い気持ちですね(^-^;
NGC55は、素晴らしいことに、一発で導入に成功しました。これは、とても気持ち良く、そして感動しました。
↓アンカー。かなり細かい星まではっきりと捉えられています。バーティノフマスクのおかげでしょう。
撮影結果
[撮影をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 3.2 (64 bit)によるライブスタック(リアルタイムダーク補正機能使用)
画像編集:画像編集:SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し、GIMPによる色レベル・トーンカーブ調整
その他:UV/IRカットフィルター使用
うーん、こんなものなのでしょうか。
露出8秒間、総スタック時間3600秒間(リアルタイムダーク補正使用)、GAIN230、での撮影結果です。
視等級は7.87と明るく、GAIN値はあまり上げないでおこうと思ったのが明暗を分けたかもしれません。せめて250まで上げておけばよかったかもしれません。
これ以上強調処理すると、ノイズまみれになります。
視等級は明るくても淡いから、強い強調処理が出来ないのでしょうか。
一時間寒い思いをした割には、出来栄えは良くありませんが、これで秋のDSOは制覇ということで、一区切りさせていただきます。
因みに前回失敗した作品がこれ↓(2021年11月20日)
sanpojin版秋のDSO
天文ガイドのポスターに掲示されていた天体で、管理人が撮影した画像をまとめて掲載しました。
人に歴史ありと申しましょうか、出来の悪いのが多いですが、こうしてみると、頑張って来たなあとしみじみ思います。
これから知識を吸収し、多くの経験をし、来年の秋のDSOでは、もっと良い画像を得られるように頑張ります。
コメント
視等級ですが、明るくても、面積がある天体だとその分、暗くなります。正確な式はまた調べて欲しいのですが(結構複雑な数式使ってたはず)、ざっくりと感覚的には面積で割る、という感じの理解で良いです。
なので、M33などは大きい分、暗いし、反対にM76などはちっさいので実際に撮ると明るい、となるわけです。
UTOさん、おはようございます。アドバイスありがとうございます。
なるほど、M76は視等級が12を超えていたので、とらえにくいかなあと思ったら、明るくてあっさり導入できたのはそういうことだったのですね。実際にネット上などの情報で視等級を調べますが、面積あたりの明るさで判断しないと実際の明るさは分からないということですね。これは、今までも不思議だと思う音があったので、とても勉強になりました。
いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。