目次
概略
天文ガイド付録に掲載されている秋のDSO8個の撮影が、残りあと2個となっていました。
家を離れてプチ遠征が必要な方角にある天体が残っています。
くじら座NGC247と、みずがめ座NGC7293らせん状星雲です。
どちらも南方の低空にあるDSOで、撮影が難しいものです。
赤道儀の精度も低くなりがちです。
成功したら達成感がありそうな、みずがめ座NGC7293らせん状星雲から取り組むことにしました。
極軸設定の精度も上々、画角への導入もスムーズ。
しかし、自動追尾の精度が低かったです。手動で一回だけ修正しました。
手動コンポジット(ライブスタックではないということ)で、らせん状星雲を撮影するのは初めてで、はたして写るのか不安でした。画角に姿が全く見えないのです。
赤経・赤緯値のみをたよりに、見えない相手を画角に導入するのは不安が伴います。
結果としては、きちんと撮影に成功し、少し画像編集したらけっこう良い感じに仕上がりました。
↓らせん状星雲を追尾・撮影する、ビクセン社スーパーポラリス赤道儀、ビクセン社製モータードライブMD-6、鏡筒SVBONY社SV503 102ED
撮影と撮像への経過と結果
極軸設定の状況と自動追尾の状況
90分の撮影時間を確保するつもりだったので、極軸設定は慎重に行いました。
その結果、20″の設定誤差まで追い込みました。あとは赤道儀のご機嫌さえ良ければ完璧です。
自動追尾の状況は、先にも述べたとおり、少し精度が落ちてしまいました。
途中で一度手動で位置を修正しているのに、結果はそれなりのズレが出てしまいました。
今回自動追尾部隊のご機嫌が悪かったようです。(もちろん何かの拍子に極軸がずれてしまったことも考えられます)
また、追尾時間も93分20秒と長い時間だったことも原因でしょう。ノータッチで(一回タッチしましたが)。
恒星のピント合わせ
×0.5レデューサーとUV/IRカットフィルターの組み合わせだと、ドローチューブの繰り出し幅は約59mm。極軸設定は仮にこの数字で行っています。
しかし、撮影には精度を上げないといけませんので、バーティノフマスクでピント合わせです。
使うのは、みなみのうお座のフォーマルハウトです。プチ遠征しても、あまり星が多く見えるわけではないんです。
明るい有名どころを使わないといけません。それがフォーマルハウトです。
↓調整の結果です。まあ、ほぼ合っているでしょう。
↓フォーマルハウトです。
基準恒星と目標天体の導入
先に述べたような理由で、基準恒星はみなみのうお座のフォーマルハウト(等級1.15、赤経22h57m、赤緯-29°37′)に決定です。
目標天体のらせん状星雲の位置は、赤経22h 29m、赤緯-20° 50’です。スナップショットでは、らせん状星雲を確認することはできませんので、http://nova.astrometry.net/頼りです。結果としては、3回のトライでらせん状星雲を画角に導入することに成功しました。
撮影の結果と、撮像の経緯と結果
[撮影に使用した機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセン社スーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDアポクロマート、×0.5レデューサー使用
カメラ:ZWO社CMOSカメラASI462MC
自動追尾:ビクセン社MD-6
撮影・スタック:SharpCap 4.0 (64 bit)による撮影、GAIN320、10秒間のfitsフレーム560枚を撮影・うち504枚(計84分)を、DeepSkyStackerでコンポジット・ダーク補正・フラット補正
画像編集:GIMPで色レベル、トーンカーブ調整
使用フィルター:UV/IRカットフィルター
撮影場所:郊外河川敷公園
撮影日:2022年11月12日
撮影の結果
若干淡くて、カブリも発生していますが、所期の目的は果たした気分です。
撮像の経過と結果
GIMPによる色レベル調整
背景が黒くなかったので、多少強調し、色レベルを調整しました。
GIMPによるトーンカーブ調整
緑色の被りが残っているのと、色レベル調整で淡くなったらせん状星雲の色である赤色をトーンカーブで調整して強調し、緑色の被りもトーンカーブの緑色を下げ、出来る限り修正しました。
これで完成としました。
まとめ
ライブスタックで撮影した時の結果のレベルに届いたと思います。
昨年撮影したらせん状星雲↓、やはり今回が若干淡いか・・・
南方の低空はどうしても霞み気味であり、大きくGAINを増やせないところが苦しいところです。
今回は350で臨もうとしましたが、画面が白飛びしてしまい、妥協したのが320でした。
さて、秋のDSOで残るのは、くじら座NGC247です。これも淡いので、できる限りGAINを上げていきたいと思います。
番外
月の出と、火星
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