ねらい
昨夜は、すっきりしない空で、晴れているような晴れていないような、それでいて、SharpCapにより極軸設定はできる、中途半端な天気でした。
本当は、完全に晴れた日にやりたい、そう思っていたのが、SharpCapのリアルタイムダーク補正。
Samさんやこたろうさんに、ライブスタックの限界と言われた、画像に青い埃が入っていた事件、
こういうノイズを除去するには、聞いてはいたけど難しそうで手を付けていなかった、ダーク処理、フラット処理などが必要になります。
いよいよ、疑似体験しようという気になりました。
それが、SharpCapのリアルタイムダーク補正です。これでノイズが消えるのでしょうか。
撮影結果
実験の対象は、先般撮影したさんかく座銀河にしました。なんといってもノイズだらけで、ノイズの後ろに存在しているような画像になってしまったので。
進め方
諸先輩を前に書くのは、おこがましいのですが、ノイズを消すダーク補正は、ダークフレームを作成して行います。
リアルタイムダーク処理についていえば、スタックしながら、ダーク補正をしてくれます。
これがとても便利で、ライブスタックを卒業できなくなってしまいそうです。
toolをクリックすると、以下の画面になります。あとは、ダークの枚数と保存場所に答えるだけ。
枚数以外は初期値でOKです。
望遠鏡のキャップを締めて、スタートボタンを押します。ダークは実際の撮影と同じ条件で撮影します。露出やGAIN、撮影枚数(ライブスタックではスタック数)、どれも途中で変えてはいけません。
管理人は、いつもの露出8秒間で、GAIN300、撮影枚数は40分総スタックを目指して、300枚に設定しました。露出はSharpCap画面右の操作盤でいつものようにexposureを設定することで決定します。
ダークの適用
ダーク作成が終了したら(一つのファイルが出来上がります)、↓の矢印のbrowseをクリックし、ダークが保存している場所をたどり、たどり着いたら、ダブルクリックします。これでダークが適用されました。
↓一つのファイルとは、このようなものです。
ライブスタック開始
ダークを適用したら、やり慣れたライブスタックの開始です。先に述べたように、さんかく座の渦巻銀河M33をターゲットにしていました。
ここは試していないのでわかりませんが、ダークを適用したらすぐに撮影に入れるように、対象天体をずっと自動追尾しておいた方が良いような・・・
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセンスーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDレンズアポクロマート。
カメラ:CMOSカメラASI462MC
自動追尾:MD-6(ビクセン)、
撮影:SharpCap 3.2 (64 bit)
画像編集: SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出しと、リアルタイムダーク補正
その他:UV/IRカットフィルター使用
before(8月25日のM33)です。もちろんダーク補正などはやっていません。緑色のノイズも相変わらずあります。ノイズの雨が降っているようで、M33はその向こうにある感じ。
そして、after、リアルタイムダーク補正をしてライブスタックした結果は・・・
ノイズの雨が消え、さんかく座銀河が顔を出しました。ダーク処理の効果のほどに驚きました。
それでも、この画像は、途中で曇ってしまい、15分程度の総スタック時間で終わってしまったものです。それでも効果を感じられました。
天体写真にはこんなこともあるんだなと思いました。
本来ならダークフレームと条件の異なる撮影なので、撮り直しなのです。
ダークフレームの作成も、ライブスタックも同じだけ時間がかかるので、写真の撮影はこれまでの2倍になります。
しかし、それで良い写真が撮れるのなら、やってみる価値があります。
※alignに働いている星をハイライトする設定にしていたら、そのまま写ってしまいました。
2021年8月27日の木星
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセンスーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・F=714mm・F値7、EDレンズアポクロマート、×2バローレンズ使用
カメラ:CMOSカメラASI462MC
自動追尾:MD-6(ビクセン)、
撮影及びスタック:FireCapture2.6、AutoStakkert3.1.4
画像編集:RegiStax 6でWavelet処理
その他:UV/IRカットフィルター使用
この時期になってくると、木星と土星の撮影をするのが習慣化します。昨夜はこんな感じでした。時間の関係上、土星の撮影はできませんでした。残念です。
まいくろさんの教えてくれたサイトで大赤斑の出現を予測しました。大赤斑好きの管理人にはとてもありがたいサイトです。
Duration=60.011s、Frames captured=2987、ROI=640×480、ROI(Offset)=832×248、FPS (avg.)=49、Shutter=6.657ms、Gain=266 (44%)、Gamma=100、Histogramm(min)=0、Histogramm(max)=4082、Histogramm=99%
まとめ
初めてのリアルタイムダーク補正、成功してよかったです。
これからも撮影する際には、行うと思います。
時間がかかることについては、先人、諸先輩の皆さんが考案した、コンポジットという画像作成の方法の偉大さに比べたらはるかに短いです。
SharpCapのライブスタックを卒業したら、もっともっと長い時間がかかります。
今までのライブスタックは、便利でしたが、本格的に天体写真の世界に入っていく一番最初の扉にすぎませんでした。
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