ねらい
かねてからの懸案であった、追尾誤差が大きいのではないかという問題、昨夜はめずらしく、雲の切れ間が大きく、天体望遠鏡を出動させ、実験を行うことにしました。といってもいつ雨になるか分からないので、室内からの天体観測となりました。
これらの実験のうち、部屋の中からでも行いやすい、「短時間ライブスタックを複数コマ撮影」をチョイスしました。
果たしてどのような結果が出るでしょうか。
撮影結果
[撮影、画像処理をした機器、ソフトウェア]
赤道儀:ビクセンスーパーポラリス赤道儀
鏡筒:SVBONY社SV503 102ED D=102mm・f=714mm・F値7、EDレンズアポクロマート。
カメラ:CMOSカメラASI462MC
自動追尾:MD-6(ビクセン)、
撮影:SharpCap 3.2 (64 bit)
画像編集: SharpCap 3.2 (64 bit) のヒストグラムによる炙り出し
その他:UV/IRカットフィルター使用
極軸設定は、完璧で、excellentでした。シビアな環境で実験したいので、×0.5レデューサーは未使用です。
なお、撮影間隔は10秒程度です。
撮影した空域は赤経01h 46m 赤緯+36° 19’です。
一度目の撮影
露出8秒間、総スタック時間600秒間、GAIN300。
実験の評価としては適切な言い方ではありませんが、まあ、こんなものでしょう。
西に向けて、画像の縦の長さ16cmに対して約1cm誤差が出ました。
二回目の撮影
露出時間等、一回目と同条件です。ほぼほぼ完璧な追尾となりました。同じ条件で追尾をしたのに、こちらは十分許容範囲の結果になりました。
しかし、今回東西南方向に黒い枠が出来ているので、これらを合算したら、ほぼ一回目の追尾誤差と同じ量になります。
ただ、見栄えが特に良いということでしょうか。
三回目の撮影
露出時間等、一回目と同条件です。 管理人としては許容範囲ですが、今回は西南に追尾誤差が出ました。
これも黒い枠を合算すると、一回目の撮影の量とほぼ同じになります。
まとめ
3回、同条件で撮影しましたが、まず、星は西に向かって進み始め(ズレはじめ)、二回目の撮影では、東西南方向をいったりきたりし、三回目の撮影では、星が西南に向かってズレていきました。
これの示すところは・・・
30分間の間に、不規則なズレ方をしているということです。
ピリオディックモーションだけではないようです。
それで、追尾誤差軽減のための方策は・・・
二度目の撮影結果が良かったことから、撮影に当たっては、最初にライブスタックを10分間ほどアイドリング撮影させ、10分経ったところで本番撮影を開始する、というところでしょうか。
今回、スーパーポラリス赤道儀とMD-6の組み合わせでしたが、アイドリングすると良い結果となる傾向があるのかもしれません。
また、撮影した空域は赤緯値の大きいところで、赤緯値の小さいところでは違った結果だったでしょう。きっと、誤差が大きくなるのではないかと。。。
同じ実験を赤緯値の小さいところでも試してみたいと思います。
他の実験もつぶしていき、少しでも追尾誤差の少ない撮影を目指したいです。
↓記念に撮影したカペラです。窓から撮影できる天体がなかったので、これです。
コメント
画像の長辺方向が南北方向、短辺方向が東西方向だとして、3コマだけの結果から導くの
は危険ですが、『画像左側の黒い部分が増加している。』→南北方向のズレが時間経過と
ともに増大している。(原因はPMじゃないなぁ。)
また、『30分間では不規則なズレ』かもしれませんが、もっと長時間で確かめる必要があ
りそうです。「長周期で進んだり遅れたりする」のか「どんどんズレが累積する」のか。
さらに、「いつでも10分露出の2セット目がズレが小さい」のか。
土星・木星も見頃ですし、ご自身のペースで調査を続けてください。
まいくろさん、ありがとうございます。
確かに30分だけでは何も判断できないかもしれないですね、とにかくピリオディックモーションだけの影響ではないことがはっきりしました。
一時間くらい観測したら何かわかりますかね。
私の感覚からすると遅れたり進んだりしていると思います。ちょっと大きいテーマですね。いろいろやってヒントを拾っていきたいと思います。